登壇したのはAOI Pro. 太田 慧氏、ティー・ワイ・オー佐藤 渉氏の2人。
新進気鋭のオンライン動画・CMクリエイターとして国内外で注目される2人が考える、オンラインビデオならではのクリエイティブ表現とは何か。これまでに企画・演出を手掛けた作品とその制作過程・背景を紹介しながら、そのポイントに迫った。
動画+インタラクションが生まれる仕掛けを設計
——まずお2人の経歴・作品をお聞かせください。太田さんはWebの企画演出からのスタートとうかがっています。
太田:卒業後はAOI Pro.子会社でデジタルを専門に扱っていたaoi-dcでWebコミュニケーションを主体にした企画演出をしていました。元々は美大の映像学科出身で、映像をやっていきたいという気持ちが強く、Webの仕事が来ても、とりあえず映像の企画を一緒に提案する、というのを繰り返しやっていました。その結果、ちょっとずつ映像の仕事をいただけるようになって、現在に至ります。
ナノ・ユニバース/NANO/SECOND
nano second from nano・universe on Vimeo.
太田:ナノ・ユニバースは、それまで店頭で配付する紙媒体でコレクションを掲載していましたが、それをWebカタログにしたプロジェクトを2013秋冬のコレクションで実施しました。当初のクライアントのオリエンは、何か新しい・面白いことをWebでやりたいというもので、その中にオンラインビデオは含まれていませんでした。
しかし、「ナノ(微小)」と「ユニバース(宇宙)」を掛け合わせた、ナノ・ユニバースの社名に着想のヒントを得た結果、ジャケットやアクセサリーなど、ナノ・ユニバースが持つ膨大な数のコレクションを、カメラのストロボが光る一瞬の中にぎゅっと詰め込む、クリエイティブのアイデアが生まれたんです。さらにWebを主体にやってきた知見を生かした仕掛けも取り入れています。映像に登場するモデルをWebサイト上でクリックすると、映像が止まり、モデルが着ている服を実際に購入できるようなシステムも組みました。
アウディ ジャパン/Thank you for 200,000 Likes on Audi Japan’s Facebook page
太田:アウディ ジャパンFacebookページへの20万「いいね!」達成を記念し、ファンへの感謝を伝えることをコンセプトとしたキャンペーンです。日本のファンに向けたキャンペーンだからこそ、日本独自の文化や癒しを感じる「ちょっと変わったもの」とアウディとのコラボレーションを実現したいと考え、アウディ×銭湯というアイデアが生まれました。
映像に登場する銭湯の壁面アーティストは、日本にはもう3人しかいないそうです。そこで、描いていただいた壁画をファンが実際に見に来られる場を用意したり、映像に出た桶「アウディ桶」を実際に作ってリツイートしてくださった方々にプレゼントしたり、とリアルな場とも連携して、ファンの方々に喜んでもらえるキャンペーンを設計し、その場とユーザーを繋げるツールとしてオンラインビデオを制作しました。