2月28日に発売される『宣伝会議』2015年4月号では、「海外から見た、魅力の本質とは? 時代に合った“日本ブランド”発信」をテーマとし、インバウンド市場を中心に、“日本ブランド”を企業マーケティングにいかに活かすかについて特集。雑誌の発売に先駆け、誌面連動した全2回のミニレポートを掲載。第1回は、企業・団体のインバウンドビジネスの取り組みをサポートするやまとごころの村山慶輔氏に、外国人観光客へのアプローチをステップごとに解説してもらいます。
2種類のカバンの購入を迷っている観光客への有効な一言とは?
—訪日外国人観光客へのフェーズ別アプローチ—
「外国人目線」でコンテンツやメッセージを磨く
外国人観光客を取り込んでいくためには、彼らに響くコンテンツやメッセージは何か?をしっかりと考える必要があります。つまり、我々日本人が売りたいものをアピールするのではなく、外国人観光客の興味・関心にマッチしたコンテンツ・メッセージをつくり、それを適切なチャネルを通じて発信していくことが不可欠です。
例えば、Wi-Fi対応、送迎有無は宿泊施設選定の重要な要素になります。旅行先ではスマートフォンなどで情報収集・発信をするのが一般的になっているため、Wi-Fi対応ができているかで施設を選定する海外からの観光客も増えています。また、個人観光客が増える中で特に地方では「送迎あり」も重要なポイントです。日本人よりも公共交通機関を使って移動するケースが多いため、特に家族連れの方には「送迎あり」が不可欠になります。商業施設を例にとっても、外国人観光客が欲しいブランドや商品を扱っているのかが分かりやすく発信されている必要があります。
つまり、重要なことは、「外国人目線」でコンテンツやメッセージを磨くということです。そのためにはいくつか方法があります。
- 今、日本に来ている外国人観光客や地域にいる留学生や在日外国人の方にヒアリングしてみる
- 現地旅行会社やメディア招聘して、魅力を発見してもらう
- 有名ブロガーを招聘し、彼らが面白いと思ったものをそのまま発信してもらう
など様々なアプローチが可能です。上記を踏まえた上で、彼らのニーズに合った情報発信をしていくことが不可欠です。
旅行計画の段階でいかに認知されているか
次に、外国人観光客が旅行を計画する段階から実際に訪日し、商品・サービスの購入までの流れを4つのステップに分け、それぞれのステップでやるべきことを整理してみていきたいと思います。
外国人観光客へのアプローチ
ステップ1:旅行計画(事前周知)
ステップ2:購入前(国内周知)
ステップ3:購入中(店頭)
ステップ4:購入後(ファンづくり)
それぞれのステップにおいて、外国人観光客へのアプローチ方法は異なってきます。
1.旅行計画(事前周知)
旅行計画の段階で自社の施設やサービスについて認知されることは非常に重要です。特に宿泊施設の場合は、訪日前に予約してくる方がほとんどです。つまり、宿泊施設においてはこの段階での情報発信、そして、認知し、予約まで持っていくことが不可欠です。
海外の方は旅の計画を練るときに、ネットや雑誌、ガイドブック、テレビ、旅行会社、知人からの口コミなど様々なチャネルから情報を収集します。そのため、費用対効果を見定め、適切に予算配分していく必要があります。個人客、団体客のどちらを集客したいかにより、アプローチ方法は異なりますが、今後のトレンドとしてアジアからも個人客が増えてくるので、ネットでの情報発信は最重要課題であるといえるでしょう。
2.購入前(国内周知)
次に外国人観光客が日本に来てからのアプローチを見ていきます。宿泊施設は事前に現地側で決めているケースが多いものの、買い物や食事の場所は日本到着後に決める傾向があります。例えば、外国人観光客が足を運ぶ観光案内所や宿泊施設等にチラシやクーポンを置いてもらったり、各種フリーペーパーに出稿するもの有効です。ホテルのコンシェルジュや通訳案内士など、外国人観光客が常に情報を求める役割を担う方に自社の施設やサービスについて情報を提供しておき、紹介してもらうことも一つの手段です。
このステップでのポイントは、自分の施設を紹介してもらうだけでなく、相手も紹介する、さらには、地域をプロモーションする中で自社も一緒に発信していく、という発想で周りと連携して進めていくことです。