【前回のコラム】
「全体設計と戦略PRが大事——ヘルスケアマーケティングに大切な4つのこと①」はこちら
僕が担当している「ヘルスケアマーケティング」の講座(宣伝会議)に参加される人の多くは、健康美容産業に関わる大きな企業で、おもに商品開発に携わっている方々だ。でもここ3年間で少しずつ、参加者に変化が見られている。それは、ローカル企業の経営者や地方自治体のブランディングに関わる人たちが参加しはじめていることだ。わざわざ、と言っては申し訳ないが、東京に出張までいただいて、聴きに来てくださる。
いったい何を求めているのか?
上京の目的は、TOKYO観光では決してない。東京は大しておもしろくないし、ワクワクもしなくなった。ワクワクの多くは、ネットで買えるし、体験できる。いまや、地方の方が絶対おもしろいし、とてもおいしい。本心を言えば、僕が地方まで“わざわざ”出張したいほどだ。そして、気づいたのだ。「地方がおもしろい」、こんなタイトルの特集が雑誌等で組まれるようになった頃と時を同じくして、ヘルスケアマーケティング講座の参加者も様変わりしはじめていることに。
「地方×健康」ビジネスが、秘かに、でも確実に、はじまっているのだ。彼らは、本気でヘルスケアビジネスのマーケティングを聴きに来ている。事実、講義中の質問は多いし、眼差しから感じられる真剣度も強く、お持ち帰り案件に対する緊迫感も高い。
さて今回は、前回触れた「コト(健康課題)づくり」(=ISSUE+ing)に続き、「地方」のヘルスケアビジネスを例に、BRAND+ing(モノづくり)・MARKET+ing(ハコづくり)・TARGET+ing(ヒトづくり)の話を進めることにしよう。
地方で、何のBRAND+ingがはじまろうとしているのか?
最も注目されるのが、第一次産業で生産ないし収穫される農産物や魚介類だ。いま、この第一次産業に、「健康」をプラスするビジネスがはじまろうとしている(⇒今春スタートする食品の「機能性表示制度」)。「生鮮品を生産する」第一次産業、「加工品を製造する」第二次産業、「サービスを提供する」第三次産業、「情報を構築する」第四次産業に至るまでの一気通貫した事業体を生み、まるで大企業並みのグループ経営ができる状態にある地方も、きっとあるはずだ。第一次産業のモノ(素材)づくりの現場が「健康」という情報をつくる第四次産業の参画を得て、中間過程にある第二次産業のモノ(製材)づくり、第三次産業のモノ(商材)づくりも活気を帯びるという構図だ。素材づくりに絶対の自信をもち、情報づくりに長けている地方ほど、チャンスに恵まれているだろう。あとは、これをネットワーク化する仕組みを受け容れる柔軟性が、その地方にあるかないかだ。もうすでにスタンバッてる地方が、日本海に面しているあそこと、瀬戸内海に面しているあそこと、太平洋に面しているあそこにある。というように、そこら中で。
BRAND+ingしようとしているものは、「地方」の全産業構造が参画する「健康」に良いモノである。
次ページ 「市場創造のMARKET+ingと顧客獲得のTARGET+ing」へ続く
ヘルスケアマーケティング実践講座事務局
エーエムジェー 代表取締役 赤坂卓哉氏
企業の通販広告・店販広告全般のコンサルティングを行う。TV・ラジオにて累計2000回以上の通販番組を担当。通販において豊富な知識と実績を有する。通販や店販に欠かせない「薬事法」や「景品表示法」に深く精通し、法律を守りながら広告として成立つ「シズル感のある広告表現」を得意としている。企業の法務チェックも手掛けている。
日経BP
ヒット総合研究所 上席研究員 西沢邦浩氏(にしざわ・くにひろ)
小学館を経て、1991年日経BP社入社。開発部次長として、『日経エンタテインメント!』の創刊などに携わる。98年『日経ヘルス』創刊時に副編集長に着任。2005年より編集長。08年『日経ヘルス プルミエ』編集長。14年から早稲田大学大学院先進理工学研究科非常勤講師。「大人のラヂオ」(ラジオ日経)ほか、TV、ラジオ、セミナー講師等多数。
マッキャンヘルスコミュニケーションズ
CKO(最高知識責任者)
西根英一氏(にしね・えいいち)
健康・医療・美容のマーケティング戦略とコミュニケーション設計を専門とする。マッキャンヘルスコミュニケーションズCKO(最高知識責任者)、千葉商科大学サービス創造学部非常勤講師(「健康サービス論」「調査法」ほか)。日本広告学会、日本臨床腫瘍学会の正会員、日本メディカルライター協会、日本医学ジャーナリスト協会の協会員。厚生労働省「すこやか生活習慣国民運動」(健康日本21)の推進室室長等を歴任。3月に、宣伝会議から『生活者ニーズから発想する健康・美容ビジネス『マーケティングの基本』』が刊行の予定。
エーエムジェー 代表取締役 赤坂卓哉氏
企業の通販広告・店販広告全般のコンサルティングを行う。TV・ラジオにて累計2000回以上の通販番組を担当。通販において豊富な知識と実績を有する。通販や店販に欠かせない「薬事法」や「景品表示法」に深く精通し、法律を守りながら広告として成立つ「シズル感のある広告表現」を得意としている。企業の法務チェックも手掛けている。
日経BP
ヒット総合研究所 上席研究員 西沢邦浩氏(にしざわ・くにひろ)
小学館を経て、1991年日経BP社入社。開発部次長として、『日経エンタテインメント!』の創刊などに携わる。98年『日経ヘルス』創刊時に副編集長に着任。2005年より編集長。08年『日経ヘルス プルミエ』編集長。14年から早稲田大学大学院先進理工学研究科非常勤講師。「大人のラヂオ」(ラジオ日経)ほか、TV、ラジオ、セミナー講師等多数。
マッキャンヘルスコミュニケーションズ
CKO(最高知識責任者)
西根英一氏(にしね・えいいち)
健康・医療・美容のマーケティング戦略とコミュニケーション設計を専門とする。マッキャンヘルスコミュニケーションズCKO(最高知識責任者)、千葉商科大学サービス創造学部非常勤講師(「健康サービス論」「調査法」ほか)。日本広告学会、日本臨床腫瘍学会の正会員、日本メディカルライター協会、日本医学ジャーナリスト協会の協会員。厚生労働省「すこやか生活習慣国民運動」(健康日本21)の推進室室長等を歴任。3月に、宣伝会議から『生活者ニーズから発想する健康・美容ビジネス『マーケティングの基本』』が刊行の予定。
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。