北海道の自然が生んだ商品を、長く愛されるブランドへと育てる―②米夢館

北海道の自然が生んだ商品を長く愛されるブランドへと育てる

地域に根差す企業とクリエイターがパートナーとなり、新しい価値を生み出した事例を、手掛けたクリエイターが自ら解説。第1回の名古屋に続き、今回は北海道です。

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文句なしの商品力をより多くの人に伝えるシンプルな言葉を開発

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北海道網走郡美幌町。オホーツク総合振興局管内にあるこの町に本拠地を置くのが、今年で創業88年を迎えるお米の専門店「米夢館(まいむかん)」です。主食用の米の販売はもちろん、米の魅力をより広く伝えることを目的に、米を使ったお菓子も製造しています。

僕は昨年から、同社のタグライン&ロゴマーク開発と、商品のネーミング、パッケージデザインを手掛けています。

米夢館との出会いは、北海道庁主催で昨年10月に行われた管内産品の取引商談会・相談会。「札幌や名古屋の物産展に何度も出店しているが、地元も含めて、もっと着実に売上を伸ばしたい」̶同社はそんな課題を抱えていました。僕はまず、米夢館の商品に惚れ込んだ。

「マカロン」という名前の、ポン菓子をメレンゲで包み込んだお菓子が、おいしくて、斬新で。相談会の場では、一般的なマカロンと混同されるのを防ぐために、「マカロン」のネーミングを最適化したほうがいいということ、また商品ラベルも、素材の良さやお菓子のおいしさを効果的に伝えられるものに変えたほうがいいとアドバイスをしました。

さらに、米夢館自体のロゴなども、和風すぎる世界観から脱却し、ブランド全体として統一感を持たせたほうがいい、という話もしました。

こういう相談会では、専門家や有識者にあれこれと意見を言われて、誰の意見を信じていいか疑心暗鬼になってしまう参加企業も少なくないとか。無責任に、言いっぱなしではいられなくて、「商品力はあるので、デザインを見直しましょう。今度、提案させてください!」と申し出た。

仮説をまとめて、企画書を手に米夢館さんへ提案に行ったのは、1カ月後のことでした。

まず考えたのは、ブランド全体を貫くタグライン。「お米のセレクトショップであり、お米のお菓子も加工製造する店」という業態を再確認して、これを分かりやすく表現する言葉を模索しました。

「ごはんにしよう。おやつにしよう。」̶このタグラインを、ロゴのアイデアとセットで考えました。そして「マカロン」の名前も、「コメレンゲ」というシンプルな造語に刷新しました。

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