動画広告をHIKAKINはどう考える
須田:もう少し踏み込んで、HIKAKINさんが広告についてどう思っているのか聞いてみたい。ここ数年、広告業界では「ネット動画広告元年」と言われていて、動画がとても盛り上がっている。 ネット動画の広告全般についてどう思いますか?
HIKAKIN:視聴者の目線からすると、スキップできない広告はダメだと思います。30秒必ず見なきゃいけないと、「うわー長い」と感じます。広告はスキップできて、さらに短いものの方がいいのではないでしょうか。
僕が、もしつくるとしたら、長くても15秒でスキップできるものや、5秒、10秒でびっくりさせる映像を考えます。
須田:見ている人が興味を持っていないのに、15秒や30秒間、付き合わすのは時代に合わないということ?
HIKAKIN:そうですね、視聴者がスキップしようと思う前に終わるぐらいの広告がいいと思います。「いまのは何だったんだろう」と思わせて、興味を持ってもらうとか。
須田:5秒、10秒という短い時間のなかで伝えることが重要ということ。これはネット上の動画広告の話ですよね。テレビCMでも同じ?
HIKAKIN:テレビCMは違うと思います。動画に比べるとコンテンツの合間にCMがあることは当たり前になっていますし、テレビはCMが始まったらスマホをいじり出したり、別のことに意識を向けられたり、自然な存在ですよね。
須田:ネットの動画広告は、始まってからかれこれ10年ぐらい経っているので、いろんな人がさまざまな取り組みを行ってきた。その議論の中には、ネット上ではテレビのフォーマットに絞られないから、長尺を流すことができるというものもあった。
でも、第一人者のHIKAKINさんが「15秒だと長すぎて5秒、10秒だ」と言っているのは面白い。Facebookも動画広告をやっているけど、40秒経たないと動画の面白さが伝わらないというのはやっぱり再生されにくい。
HIKAKIN:Vineを使っているVinerと呼ばれる人たちは、6秒で爆笑させています。そういうのを考えても、短くて面白いことはできると思います。
須田:今日はHIKAKINさんと話せて、とても良かった。HIKAKINさんが、「アクセス数を稼げる動画コンテンツは何か?」ということを悩んで考えた末にたどりついたのが「商品紹介」だったというのが、いちばん印象に残りました。
「広告は消費者から望まれていない、邪魔なもの」と言われて久しいなかで、面白いお兄さんが紹介する「商品の紹介」は子どもたちを中心に人気コンテンツになりうる。案外プロの広告制作者たちが見落としがちな事実ではないかと感じました。
動画が再生されるためのティップスから、企業が個人のクリエイターにお願いをするときのポイントまで、とても率直に語ってくれました。ありがとうございました。
HIKAKIN
UUUM ファウンダー / 最高顧問
YouTubeにてHIKAKIN、HikakinTV、HikakinGames、HikakinBlogと4つのチャンネルを運営し、動画の総アクセス数は16億回を突破、チャンネル登録者数は計510万人以上、月間アクセスは1億回を超える。ビートボックスにおいては、ポップからゲームミュージックに至るまで様々なジャンルを口だけで再現するそのスキルは世界中から絶賛され、数多くの人を魅了。2013年にはエアロスミスのツアーに参加。シンガポール、大阪で共演し世界中にその名を轟かせた。ビートボックス以外にもHikakinTVチャンネルでは登録者190万人を超え、顔出しブロガーとしては日本で最も視聴されており、ゲーム実況のHikakinGamesチャンネルにおいても登録者130万人を超え、ゲーム実況ジャンルにおいて日本最大級のチャンネルになっている。
須田伸(フェイスブック執行役員 マーケティング本部長)
須田伸(フェイスブック執行役員 マーケティング本部長)
1967年、大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1992年より博報堂制作局にてCMプランナー/コピーライターとして8年間勤務。ACC賞、日経広告賞、消費者のためになった広告コンクール金賞など受賞多数。1998年カンヌ国際広告祭ヤングクリエイティブコンペティションに日本代表コピーライターとして出場。2000年より2年間Yahoo!Japanに勤務し、初代Y Chat MCとして「インターネット市民集会 with 鳩山由起夫」など数多くのライブチャットイベントを企画実行。
2002年より2012年まで10年間、サイバーエージェントに勤務し、同社のブランドをアメーバに一新する。「サイバーエージェント/アメーバ」は、2008年度グッドデザイン賞を受賞。
勤務のかたわら日経ビジネスオンラインにて「Web2.0(笑)の広告学」を連載。2012年4月よりFacebookJapanに勤務。
著書に『次世代広告進化論』『次世代広告テクノロジー』『時代はブログる!』など。
須田伸(フェイスブック執行役員 マーケティング本部長)
1967年、大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1992年より博報堂制作局にてCMプランナー/コピーライターとして8年間勤務。ACC賞、日経広告賞、消費者のためになった広告コンクール金賞など受賞多数。1998年カンヌ国際広告祭ヤングクリエイティブコンペティションに日本代表コピーライターとして出場。2000年より2年間Yahoo!Japanに勤務し、初代Y Chat MCとして「インターネット市民集会 with 鳩山由起夫」など数多くのライブチャットイベントを企画実行。
2002年より2012年まで10年間、サイバーエージェントに勤務し、同社のブランドをアメーバに一新する。「サイバーエージェント/アメーバ」は、2008年度グッドデザイン賞を受賞。
勤務のかたわら日経ビジネスオンラインにて「Web2.0(笑)の広告学」を連載。2012年4月よりFacebookJapanに勤務。
著書に『次世代広告進化論』『次世代広告テクノロジー』『時代はブログる!』など。
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