前例のないことに果敢にチャレンジ
同社の強みを象徴する二つの事例を紹介しよう。
アディダス「adizero crazy light」の自立POP
アディダス史上最軽量のバスケットボールの「軽さ」を訴求するため、現物のシューズを浮遊させた演出を行った。ターゲットの中高生に向け、商品を鮮烈に印象付けている。仕掛けは磁石による電磁波を利用している。ファンで送風し、宙に浮きながらくるくると回転している。JPMクリエイティブショーの経済産業大臣賞を受賞。
一つはアディダス・ジャパンが11年に販売した史上最軽量バスケットボールシューズ「adizero crazy light」の自立POP(ムービィングディスプレイ)(図1)。軽さを強調するためにシューズを宙に浮かせ、くるくると回転させている。
「糸で吊っているわけでもないのになぜ?」と来店客を驚かせた。種明かしはシューズの爪先と踵、ディスプレイの天地に磁石を設けることで生じる電磁波の影響。下に設置したファンによって回転している。
「前例のないことに果敢にチャレンジしました。幾度の失敗にもめげず、実現することができました」(渡辺氏)。
このディスプレイはSNS上で話題となり、シューズはアディダスの同カテゴリーで過去最高の売上消化率を記録した。
もう一つは銀座にある本格焼肉居酒屋「まるし」の姉妹店「マルシミート」のCIや内装、メニューやサービス、ユニホームなどのトータルブランディング(図2)。
「まるし」は予約のとれない人気店として知られているが、それゆえ顧客の取りこぼしが課題として挙がっていた。男性がメイン顧客である本店と差別化するため、姉妹店では女性が入りやすい雰囲気にし、異なる顧客層にアプローチできるよう演出した。
「女性客が単独で焼き肉店ののれんをくぐるには抵抗があります。従来の焼き肉店のイメージを変えること、中長期的なフランチャイズ展開を視野に入れることが目標でした」(古屋氏)。
14年7月にオープンした同店は、さまざまなメディアに取り上げられ、狙い通り20代の女性顧客が増えている。
プロスパーグラフ/ワークバンドの今後の展望について渡辺氏は「両社で切磋琢磨し、協力しあいながら本当の意味での売れる店舗や買いやすい空間を追求していきたい。単なるSP・制作・デザイン会社で終わるのではなく、VMD(Visual Merchandising)につなげた形でさまざまな分野の事業領域の拡大を図っていきたい」と話した。
まるし 姉妹店「マルシミート」のトータルブランディング
人気焼き肉店のCIや内装、メニューやサービス、ユニホームなどを制作。従来の焼き肉店のイメージを払拭した。細かい気配りが隅々にまで行き届いた設計で女性顧客が入りやすくしている。さまざまなメディアに取り上げられ、20代の女性顧客が増えた。
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