【世界の面白プロモーションに見る 人を動かすアイデア】
・Vol.1
第2号(2015年2月27日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。
世界を見渡すと、日本ではあまり見られないような驚きのアイデアで人の心を掴み、行動を喚起したプロモーションが数多くあります。マス広告を打たなくても、人は集まる、モノは動く。そんな事例を紹介します。
スーパーボウルCM効果を横取り!30秒5億円の出稿費を節約
ボルボ「The Greatest Interception Ever」(米国)
お金をかけずに他社のCMに便乗!
キャンペーン名は、アメフトで相手のパスを奪い取るプレーの「インターセプト」にかけているようだ。100万回以上再生された告知ムービーでは、「父に」「夫に」「ベビーシッターに」と様々な声が。担当エージェンシーはGREY New York。
毎年2月に開催されるアメリカンフットボールリーグ・NFLの優勝決定戦「スーパーボウル」は、テレビ中継のCM放映料が高騰することから、スポーツ界のみならず広告界にとっても、年間で最も盛り上がるイベントの一つ。第49回を迎えた今年の視聴率は49.7%と史上最高記録を更新し、CM出稿料も30秒5億円と過去最高額となりました。
そんな中、CM出稿を見合わせたにも関わらず、人々からの注目を集めたのがボルボです。同社がスーパーボウルに合わせて実施したキャンペーン「The Greatest Interception Ever(史上最大の横取り作戦)」は、他の自動車メーカーのスーパーボウルCMがオンエアされている間にTwitterでハッシュタグ「#VolvoContest」を付けて、ボルボの「XC60 Luxury crossover」を贈りたい人の名前を投稿すると、抽選で1名に新車が当たるというものでした。
他社のCMが流れているのに、視聴者の頭の中はボルボのことで一杯…。ダブルスクリーン時代ならではの企画で、見事、視聴者の心を“横取り”することに成功しました。
信憑性やいかに…?ポテトで占うあなたの運勢
Sibylla「Future fries」(スウェーデン)
カップの底に残った茶葉の形や枚数で未来を占う「紅茶占い」、カップに残った模様で診断する「コーヒー占い」…。スウェーデンのファストフードチェーンSibyllaは2014年11月、ポテトのリニューアルを記念したキャンペーンとして、「ポテト占い」を実施しました。
参加方法は至って簡単。ポテトを購入したら、食べる前にトレー上のシートに書かれた指定位置にポテトをぶちまけ、その様子をスマートフォンで撮影する。あとは、その写真をInstagramのSibylla公式アカウントページにハッシュタグ「#FUTUREFRIES」をつけて投稿するだけ。すると超能力者が、ポテトの形から占った運勢を、24時間以内にリプライしてくれる、というものでした。
担当エージェンシーは、ストックホルムに本社を置くVolt 。期間中、投稿された写真についた「いいね!」は3万8000件にのぼり、アカウントの閲覧数は110万ビュー以上、Instagramのファン数は1500%増を記録しました。また売上も、前年比35%もアップしたそうです。
下心をくすぐられて、ついついオトナ買い?
Conti Bier「Pin-up」(ブラジル)
オランダのハイネケン、デンマークのカールスバーグ、アイルランドのギネス、米国のバドワイザー、バドライト、ミラーなど、世界各国、ビール会社の広告には昔から秀逸なものが数多くあります。そんな中、ブラジルのビール会社Conti Bierも負けてはいません。
同社が期間限定で実施したのは、缶ビールに特別なパッケージデザインを活用したプロモーションで、その名も「Pin-up(女性のセミヌードという意味)」。缶ビールの数十本に一本だけ、冷蔵庫に入れて冷やすと、缶に描かれたイラストの女性が着ている白いワンピースが透けて、水着姿が現れるという仕掛けがなされています。
これは、創業者が学生時代に立ち上げたインク会社・Chromatic Technologies, Inc.の、光や熱に反応する特殊なインクを使って着色したもの。企画制作はWMcCannが手掛けました。
男性でなくとも、つい気になってしまいそうな仕掛けを通じて、ブランドの“The cooler, The better.(冷やせば冷やすほどよい)”というメッセージを訴求しました。
ハンバーガー好き必見!ファストフード店の近くに無料で引っ越し
バーガーキング「Whopper Move Out」(フランス)
欧米を中心に数多くの店舗を展開する大手ファストフードチェーン、バーガーキング。世界各地で展開される斬新なプロモーション施策に定評のある同ブランドが、2015年2月にフランスで実施したのが「Whopper Move Out」。なんと、バーガーキングの店舗の近隣に、無料で引っ越せるというキャンペーンです(「Whopper(ワッパー)」は、バーガーキングの代表メニューのハンバーガー)。
実はバーガーキングは、フランス市場から一度撤退し、数年前に15年ぶりに再上陸を果たしたばかり。現時点では国内店舗数が限られており、「ワッパーを食べたくても食べられない!」と嘆くファンも少なくないと言います。
そこで、「家の近くにバーガーキングがないなら、お店の近くに移り住んでしまおう!」というコンセプトの下、同社Facebookで希望者を募集。選ばれた人が、実際に引っ越すことができました。
企画制作は、独立系エージェンシーのBuzzman。引っ越し作業の動画もアップされ、さらに話題は拡散。バーガーキングのファンの熱狂度が周囲にまで伝わる仕掛けになっています。
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