クリエイターは1つの分野にこだわらなくてもいい!(ゲスト:馬場康夫さん)

【前回コラム】“バカ”と“くだらない”は最高の褒め言葉(ゲスト:馬場康夫さん)はこちら

好評の前回に続き、ゲストはホイチョイ・プロダクションズの馬場康夫さん。初の映画監督作品となった『私をスキーに連れてって』を大ヒットに導いた要因、そして広告制作で鍛えられた“ものづくり”の思考法とは?

今回の登場人物紹介

左から、権八成裕(すぐおわパーソナリティ)、馬場康夫(ホイチョイ・プロダクションズ代表取締役社長)、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)、中村洋基(すぐおわレギュラーゲスト)

※本記事は2月27日放映分の内容を収録したものです。

独立する際に背中を押ししてくれた杉山恒太郎さん

馬場:日立製作所にいたときに映画『私をスキーに連れてって』の企画がフジテレビで通って、それでも「会社を続けたい」と言っていたんだけど「冗談じゃない」という感じで。「辞めなきゃダメかなぁ」と悩んでいたときに2人の方に相談したんです。1人はぼくが一番お世話になった先輩の小平さん。もう1人は小平さんが一番評価していた、澤本さんの上司だった杉山恒太郎さんでした。

権八:杉山さんは、今は電通を辞められて。

馬場:今はライトパブリシティで活躍されていますね。ぼくが日立に入社した頃、杉山さんは電通のスタークリエーターで「ピッカピカの1年生」などを手掛けられていました。その頃は日立も結構いいCMをつくっていて、それも杉山の担当さんでしたね。ぼくは一緒にお仕事をしたことはなくて、杉山さんと小平さんが飲みに行くときに何度か同席した程度でしたが、クリエイティブなセンスの塊みたいな人でしたね。

杉山恒太郎著『ピッカピカの一年生を作った男』小学館

馬場:その後、ぼくが『見栄講座』という本を出したときは杉山さんに帯の推薦文を書いてもらいました。その縁もあって「映画を撮ることになりました」と言ったら、後押ししてくださったんですよ。今にして思えばカッコいいことをおっしゃっていたと思うのですが、ずいぶん後になって聞いたらあまり責任のある発言はしていなかったみたい(笑)。

澤本:気になるなぁ(笑)。どんなことを言われたんですか?

馬場:馬場:「やっちゃえ、やっちゃえ! ユー、やっちゃいなよ」みたいな感じです。「チャンスは滅多にないからやりな!」と明快におっしゃいましたね。「やらなかったら絶対に後悔するぞ」「こんなチャンス逃すなんてありえないよ」という感じでした。

権八:杉山さんは、澤本さんとは上司と部下という関係だったんですか?

澤本:仕事を直接やったことはなくて、いろいろと頼みごとをされることが多かったですね(笑)。

馬場:杉山さんの頼みごとって悪質ですよね(笑)。「〇〇やれよ!」じゃなくて「これやってくれな~い、ちょっとさぁ、困ってんだよぉ」みたいな感じで。おねだりに近いというか、拒否できない感じですね。「いえ、ちょっと今忙しいです」とか言いにくい!

権八:杉山さんは「ピッカピカの一年生」のほか、「ランボー」も手掛けられていますね。

※サントリーローヤルのCM「ランボー」に関するACC会報のリンク

馬場:そうそう、あんな男ちょっといないよね。

澤本:名作をいっぱいつくられた方ですね。杉山さんと馬場さんの似ているところは変な知識をたくさん持っていて、その知識を言えば、あたかもそのジャンルを全部知っているかのようなしゃべり方ができるところ。たとえば、バスク地方ってあるでしょ。

権八:スペインとフランスの間ね。

澤本:杉山さんは美食家で「今、バスク料理がきてる!」と言っていたときがあって。その頃、ちょうど杉山さんがバスク地方に行く機会があって、どんな料理を食べてくるんだろうと期待していたら、帰国して最初にぼくに言ったのが「ザビエルってバスク人なんだよ」だった・・・いや、全然関係ないでしょ。料理とザビエルって(笑)。

一同: 全く関係ない(笑)。

澤本:「ザビエルはバスク人だ」と言われたから、杉山さんはバスク地方に相当詳しくなったのかなと思ったら、そこより先の知識はあまりないの。「すげー。何でも知ってるんだ」と思って、そこから先をツッコもうとすると、話題を変えられちゃう(笑)。

馬場:この間、杉山さんにお会いしたとき、「映画『勝手にしやがれ』の脚本はフランソワ・トリュフォーなんだよね」っておっしゃっていたから、「すっげー、この人何でも知ってるんだ!」と思ったらそういうことなのね(笑)。でも、モテそうな感じはするよね。

次ページ 「カメラマンとさえ仲良くしていれば映画は完成する?」に続く

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