ヴィレヴァンの「ごちゃまぜ」陳列論~店舗は三次元の雑誌のように

効率やデータだけではお客様の期待に応えられない

ヴィレヴァンではひとつの商品からお客様を想像し、これが好きならこれが好きだな、これ買ったら次はこれが欲しくなるな、こういうひとにはこれをオススメしたいな、こんな連想ゲームのような発想で売場を広げていく。

店舗のスタッフたちは毎日お客様に触れ、彼らのココロの中にどんなフックがあるか探究し、「データ×感性」を掛け合わせることで売場をデザインしていく。これは管理上のオペレーションを考えたら、非常に非効率だ。だが、効率を求めることがお客様のためになるかと言えば、これは完全にイコールではなく、作業量はもちろん膨大になるのだが、お客様にワクワクするような独創的な空間を提案することが我々の使命だと考えた。

モノは売らずに想いを売る~「なんか」を売るお店

ヴィレヴァンは衝動買いの店だ。

来店してくださるお客様に明確な目的なんてあまりない。強いて言えば「なんかあるかな」。お客様にご来店いただけるのは、「なんか」以外なにものでもないのだ。なので、我々は「なんか」を用意しておかなければならない。カテゴリ別に整然と並べることでは「なんか」は生まれない。

冒頭にも「白いキャンバスに絵を描くように」と記述したが、ヴィレヴァンは、商品を売っているのではなく、店員たちが描いた売場という「絵」を売っている。店員たちは売場に、ただただ事務的に色を塗っているわけではなく、お客様の顔をイメージしながら、「絵」を描くので、そこには想いや思想が含まれる。

出版物が売れない時代だとか、モノが売れない時代とか、ここ最近ずっと言われ続けているわけだが、それはモノの機能性を提供するだけの見方であり、それをどうデザインしていくか、どう編集していくかを考えれば、まだまだ可能性が広がっているような気がする。

ヴィレヴァンは店舗を三次元の雑誌かのように捉え、ライフスタイルや独自の切り口で売場を編集し、既存のカテゴリを飛び越えた「ごちゃまぜ」陳列を今後も進化させていきたいと思う。それにより、予想もしなかったような情報との出会いを演出し、いい意味でお客様を裏切れるような「なんか」を売る店としてさらなる成長を遂げて行きたい。

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関戸康嗣(ヴィレッジヴァンガード 営業企画部リーダー)
関戸康嗣(ヴィレッジヴァンガード 営業企画部リーダー)

ヴィッジヴァンガード営業企画部リーダー。1999年ヴィレッジヴァンガード下北沢店に勢いで「入社したいんですけど」と言ってしまう。清貧の思想で薄給に耐えながらも、下北沢で文化発信の一端を担う。
その後「3カ月以内に売上改善できなければ閉店する予定だから」と言われながら横浜ワールドポーターズ店で店長デビュー。馬車馬のごとく働いて3カ月後には全国最下位の店舗を全国トップへ。ここでだいぶ寿命が縮まる。以後、仕事のブレーキが壊れたまま、下北沢店店長、自由が丘店店長をはじめ、主要首都圏店舗の店長を歴任する。
2006年から首都圏のエリアマネージャー、2011年震災後、東北エリアマネージャー。現在、本部にて、ヴィレッジヴァンガードのノウハウをまとめるプロジェクトのリーダー。最近では、他社の企業内研修やイベントでのPOPライティングセミナーの講師も務める。
ウェブサイト http://www.village-v.co.jp
Twitter https://twitter.com/vgvd
Facebook https://www.facebook.com/VillageVanguardOnline

関戸康嗣(ヴィレッジヴァンガード 営業企画部リーダー)

ヴィッジヴァンガード営業企画部リーダー。1999年ヴィレッジヴァンガード下北沢店に勢いで「入社したいんですけど」と言ってしまう。清貧の思想で薄給に耐えながらも、下北沢で文化発信の一端を担う。
その後「3カ月以内に売上改善できなければ閉店する予定だから」と言われながら横浜ワールドポーターズ店で店長デビュー。馬車馬のごとく働いて3カ月後には全国最下位の店舗を全国トップへ。ここでだいぶ寿命が縮まる。以後、仕事のブレーキが壊れたまま、下北沢店店長、自由が丘店店長をはじめ、主要首都圏店舗の店長を歴任する。
2006年から首都圏のエリアマネージャー、2011年震災後、東北エリアマネージャー。現在、本部にて、ヴィレッジヴァンガードのノウハウをまとめるプロジェクトのリーダー。最近では、他社の企業内研修やイベントでのPOPライティングセミナーの講師も務める。
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