周年を機に企業スローガンを一新
周年のテーマ・目的を設定するには、まず周年という節目の本質を捉え、自社の課題と接続することが必要です。
周年の本質は「創業から周年の現在にいたる過去の歴史に焦点が当たる機会」「周年という“会社ゴト”に社内外を巻き込む機会」の2点。岩崎電気の取り組みは、主に後者です。
今回の70周年の取り組みの中心は、自社のCIの見直しでした。企業スローガン(CI)策定は、当初プロのライターに委託したものの、渡邊文矢社長の「社員一人ひとりに会社の将来を考えてもらうきっかけにしたい」という想いから社内公へ。
「新たな光で未来を照らす。」という社員の案が採用され、70周年ポスターのメインコピーとしても機能しています。
また、2015年初頭に社長自身がビジネス誌の企画でインタビューに答えましたが、これも実はインナー向けの施策でした。
岩崎電気は事業のほぼ100%がBtoBのため、企業イメージの向上や露出が事業に直結するわけではありません。その中でCIを一新する意義は、社内の意識統合とモチベーションアップです。
BtoB企業は業務の専門性・特殊性が高く、また社外との関わりが薄い部署も多いため、組織のタコつぼ化や顧客視点の欠落が課題になりがちです。
そこで周年を機に、日常業務や組織の枠組みから離れて社員に“会社ゴト”に関わってもらい、日常で得がたい参加意識や一体感を演出する。また、周年という内外に同じキーワードでメッセージを発信できる機会を活用し、アウターとインナーのコミュニケーションの統合を図ることも重要なポイントです。
加えて、昭和30年代からパッケージや社内報など限られたシーンで使用していた自社キャラクター「アイちゃん」を、周年のシンボルとして位置づけ、露出を高め、浸透を図りました。
すでに社員から絶大な人気を誇っていた「アイちゃん」、取引先などでも好意的に受け入れられたといいます。
人の力を未来の競争力へ転換
大木氏に70周年以降の岩崎電気の広報としての課題を伺うと「やはり社内のモチベーションアップです。特に対外的なブランド施策をいかに社員のモチベーションやロイヤリティ向上に接続させていくか。BtoBビジネスだからこそ、社員のモチベーションは会社の発展を促す重要な要素だと思っています」とのこと。
BtoBに限らず、事業モデルや商品サービスの差異だけで企業が発展し続けることは困難な時代です。事業モデルは模倣され、商品サービスはコモディティ化します。企業の競争優位性は、最終的に人、人のモチベーション、そして人が織り成す企業文化に行き着きます。
周年を機に改めてインナーコミュニケーションに取り組み、次の周年を迎えるための競争力の源泉を育む。その最初の一手を打った岩崎電気の今後にも注目していきたいと思います。
岩崎電気70周年プロジェクト
広報宣伝室と国内営業本部が連携して推進
2012年半ばごろ
周年向け施策を考え始める
2013年 4月
記念動画用の素材を探し始める
2014年 4月
照明機器の展示会「LED Next Stage」で70周年の節目をアピール。
以後、通年で取引先向けの展示会も全国各地で開催。
5月
社内報で企業スローガン(CI)を募集
8月
企業スローガンが「新たな光で未来を照らす。」に決定
新聞広告出稿
8月18日
設立70周年を迎える
2015年 1月
ビジネス誌の企画に社長インタビュー掲載