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「全日本DM大賞」の贈賞式に行ってまいりました。僕は今回、初めて審査をさせてもらうことになりましたが、さすがは最終審査に残った作品はどれもクオリティが高く、自分が顧客として受け取るDMなど、ふだん目にするものとは明らかに一線を画しているなと感じました。
とくに感心したのは、「ビジュアル」の面です。超大判や立体による仕上げ、デザインのレベルの高さには驚かされました。時代を反映させムービー作品も多く出展され、その映像の凝り方に「これで採算が取れるんだろうか…」と思わせるものもありました。
しかし、一方で「コピー」には目新しい表現が見受けられず少し寂しい気がしました。やはりDMは開封率が命!とばかり、見た目のインパクトや開封時のギミックに趣向を凝らしたものが多く、言葉の力によって開けさせる、惹きつけるといった気概が感じられなかった。それから、もう一つ気になったのは、レター(挨拶状)の無いものが多かったこと。DMといえば昔から、封筒・レター・ブローシャー(パンフレット)が「三種の神器」として語られてきましたが、まぁ、レターが必ずしもペラの形でないとしても、封筒の一部に書かれていたり、2信、3信ならそれなりに短めの文章が入っていれば、それでいいと思います。しかし、挨拶めいた言葉が「まったく無し」のままにセールスのコピーを読ませるようでは、それはいかがなものかと… もちろん、受け手はDMに差出人の挨拶など求めてはいませんが、そこはやはり、相手に対して好印象を持ってもらうためのアプローチを心がけたほうが「得」だと思います。
少し前の回でも触れましたが、消費社会が成熟する中で、消費者の買い物に対する心理が少しずつ変化しています。たとえば、自分にとって価値があると思えば、多少高いお金を払っても買うとか、どうせなら永く愛着の持てる物を選ぼうとか…安易に安物買いをしなくなりました。むしろ個人的な趣味の道具には今まで以上にお金をかけるし、旅行や外食といったプチ贅沢も増えています。習い事など自分への投資にも積極的です。消費者たちは自分に何が必要で、何がムダなのか?を、よく「考えて」買い物をするようになりました。みんなが好きな物に飛びつくのではなく、自分の好きな物をちゃんと選びます。それと同様に「自分の好きな店」にもこだわり始めました。どの品を買うか?の前に、どの店で買うか?を考えるのです。
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