カテゴリーのビジョン・目標・成長要因の共有
以前にも解説した通り、カテゴリーとは「ショッパー視点で捉えた、同じ需要を満たす商品群・商品分野を、小売業の目標や戦略に基づいて設定したもの」と言えます。多くの場合はショッパーが買い物をしやすいように、カテゴリーを、商品の「用途・機能」により再分類しています。しかし、売り方のイノベーションでは、ショッパー・ベース・デザインを用いることで、ショッパーをより情緒的価値観での購買に誘導するための「新しい選択肢」を提示します。
このときショッパーに示される「新しい選択肢」は、当該カテゴリーをどのように成長させていくのか、という「カテゴリーのビジョン・目標・成長要因」に基づいたものでなければなりません。
どのような品ぞろえで、どのような買い物客を満足させるかという、「カテゴリーのビジョン・目標」を決定・実行するのは小売業の役割です。しかし、「カテゴリーのビジョン・目標」を支える「成長要因」を探りだし、ビジョン・目標の達成につなげるには、メーカーとの協働が不可欠です。
したがって、小売業はまず「カテゴリーのビジョン・目標・成長要因」を明確にすることが求められます。それをメーカーと「共有」することで、メーカーが「カテゴリー開発・活性化」に協力・参画できる環境が整います。またメーカーも積極的にカテゴリーをリードする姿勢を持つことで、小売業からカテゴリーに関する「相談」を受ける立場を確保することになります。
ここでひとつ押さえておきたいのは、カテゴリーにおけるトップシェアのブランド/メーカーが、常に小売業のパートナーになるわけではない、ということです。なぜなら、「カテゴリーのビジョン・目標・成長要因」こそ最優先で、それにもっとも相応しいブランド/メーカーがパートナーになるべきと考えているからです。
次ページ 「ブランドサプライヤーから戦略アドバイザーへ」へ続く
藤枝テッド和己/中井侑絵(チェースデザイン)
藤枝 テッド 和己/(株)チェースデザイン マネージング・ディレクター
2002年よりマッキャンワールドグループの(株)モメンタム ジャパンに勤務。
モメンタム ワールドワイドの国際組織グローバル・ショッパーマーケティングエクセレンス・グループの中核メンバーとして、買物客(ショッパー)を中心においたマーケティングの開発に取り組み、JTインターナショナル、コカ・コーラ、マイクロソフトといった多国籍企業のショッパーマーケティングに携わる。現在は、2013年にモメンタム・ワールドワイドが買収した、北米のショッパーベースデザイン・コンサルティング会社チェースデザインの日本法人のマネージング・ディレクターに就任し、多くのクライアントに、売り場で購買行動を操作する「売り方のイノベーション」のコンサルティングを行っている。
宣伝会議では、セールスプロモーション講座やメディアプランニング講座等のセミナー講師を務め、先駆的なマーケティング理論やケーススタディを紹介している。
中井侑絵/(株)チェースデザイン シニアストラテジックプランナー
(株)モメンタム ジャパンから、北米のショッパーベースデザイン・コンサルティング会社チェースデザインに派遣され、P&Gやスターバックスのショッパーベースデザイン・プロジェクトに参画。2014年、チェースデザインの日本法人の設立のメンバーの一人として、主にショッパー戦略の開発に従事し、クライアントに対して、ショッパーベースデザインを日本のマーケットで実践するための、様々な提案を行っている。
藤枝 テッド 和己/(株)チェースデザイン マネージング・ディレクター
2002年よりマッキャンワールドグループの(株)モメンタム ジャパンに勤務。
モメンタム ワールドワイドの国際組織グローバル・ショッパーマーケティングエクセレンス・グループの中核メンバーとして、買物客(ショッパー)を中心においたマーケティングの開発に取り組み、JTインターナショナル、コカ・コーラ、マイクロソフトといった多国籍企業のショッパーマーケティングに携わる。現在は、2013年にモメンタム・ワールドワイドが買収した、北米のショッパーベースデザイン・コンサルティング会社チェースデザインの日本法人のマネージング・ディレクターに就任し、多くのクライアントに、売り場で購買行動を操作する「売り方のイノベーション」のコンサルティングを行っている。
宣伝会議では、セールスプロモーション講座やメディアプランニング講座等のセミナー講師を務め、先駆的なマーケティング理論やケーススタディを紹介している。
中井侑絵/(株)チェースデザイン シニアストラテジックプランナー
(株)モメンタム ジャパンから、北米のショッパーベースデザイン・コンサルティング会社チェースデザインに派遣され、P&Gやスターバックスのショッパーベースデザイン・プロジェクトに参画。2014年、チェースデザインの日本法人の設立のメンバーの一人として、主にショッパー戦略の開発に従事し、クライアントに対して、ショッパーベースデザインを日本のマーケットで実践するための、様々な提案を行っている。
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