LINEは31日、メッセンジャーサービス「LINE」で展開していたフードデリバリーアプリ「LINE WOW」を大幅アップデートし、オンデマンドEC事業に本格参入すると発表した。
LINE WOWは、LINEが2014年11月に東京都渋谷区の一部地域を対象にローンチしたアプリ。韓国市場においてシェア60%を占めるフードデリバリーアプリ「Baedal Minjok」を運営するWoowa Brothers Corp.との共同出資で新会社「LINE Bros.」を設立、同アプリの展開を開始した。
「WOWな体験を、あなたに」をコンセプトに、日本料理の「おざき」やフレンチの「ア・ニュ」など世界的に高い評価を受ける名店が開発したプレミアムランチを事前予約制で提供。配達エリアや対応店舗・メニューを拡充しつつ、そこで構築した配達網を活用した幅広い分野のデリバリーも視野に入れながら、サービスの拡大を図ってきた。
これまでの取り組みを経て、リピート客が増加するなどユーザーから一定の支持を得たと判断、今回の大幅アップデートに踏み切った。
これに伴い、新たにスタートしたサービスは、150店舗以上の飲食店のフードメニューを即時配達する「今すぐ配達」と、買い物代行サービス「おねがいWOW」の2つ。
「今すぐ配達」は、LINE WOWが選定した人気店のテイクアウトメニューを専属スタッフ「WOWコンシェルジュ」が配達するサービス。注文後、調理時間・配達時間を含めて約30分~1時間で配達する。
「おねがいWOW」は、ユーザーの必要な物品を購入代行・配達するサービス。対象エリア内であれば、スーパーマーケットのみならず、人気スイーツ店、デパート、コンビニなどの商品も購入可能で、注文確定後(在庫確認後)1時間以内に配達する。
これまで提供していたプレミアムランチは、「WOWセレクション」と名称を変更してサービスを継続する。またアップデートに伴い、これまでクレジットカードのみだった決済方法に、LINE独自のモバイル送金・決済サービス「LINE Pay」が加わる。
なお、いずれのサービスも配達エリアは東京都渋谷区・港区の一部地域に限定される。
注文が確定してから数時間以内、遅くとも当日中には商品が配達される「オンデマンドEC」。食品や日用品のデリバリー、配車サービスを中心に、国内外で様々な企業が参入しており、急成長市場とされている。
米国、特にベイエリアでは、食品の分野に特化した「Instacart」、近隣のレストランのメニューやスーパーの商品を最短1時間で届ける「Postmates」、自社で調理した出来立ての料理を20分以内に配達する「SpoonRocket」といったスタートアップのみならず、グーグルの「Google Express」、アマゾンの「AmazonFresh」と大手の参入も目立つ。
日本国内で展開されているサービスとしては、タクシー配車サービスの「Uber」や、ベントー・ドット・ジェーピーが運営する「bento.jp」が挙げられる。bento.jpは、注文後20分を目安に日替わりの弁当を配達するサービスで、料金はデリバリー費用も含め800円。
徒歩圏内にスーパーやコンビニがなく、日常の買い物に不便を強いられる地域が多い米国ベイエリアは、食品や日用品を休日などにまとめ買いするのが主流。オンデマンドECサービスが発展する土壌があった。
日本の、特に都市部ではそうした不便さがない分、米国ほどのビジネス拡大が見込めるかは未知数。とは言え、スマートフォンの普及や、高齢化、共働き世帯の増加といった、需要伸長につながり得る社会背景もある。
LINE WOWは今後も、対象エリア、店舗、メニュー、価格帯などを順次追加しながら、オンデマンドEC事業の拡大を目指すとしている。
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