MIKIKO×真鍋大度×菅野 薫「身体×テクノロジーで生み出す演出の最前線」

素人だからこそ、自由な発想ができた

菅野:MIKIKOさんと真鍋さんが初めて会ったのは、2007年の「true/本当のこと」の公演(照明の藤本隆行氏、ダンサーの白井剛氏・川口隆夫氏ら第一線で活躍する10人のアーティストやエンジニアが集結して生み出したインタラクティブなダンス作品。LED照明や筋電センサー、振動子などを用いた)で、MIKIKOさんをトークゲストとして呼んだ時だそうですね。

真鍋:何としてもMIKIKOさんとの接点を持ちたくて、ゲストで来てもらったんです。

M:その場で、テクノロジーとダンスを掛け合わせてみませんかとプレゼンを受けました。その後、真鍋さんの作品を色々見て、正式にPerfumeのライブ演出に入ってもらえるようオファーしたんです。

菅野:それが2010年のPerfume初の東京ドームコンサートにつながった。

M:東京ドームコンサートでは、プロジェクションマッピングを使うアイデアをもらいました。今でこそ一般的になりましたが、当時東京ドームでプロジェクションマッピングなんて、ありえなかった。

菅野:真鍋さんがそれまでやっていたアートの箱と、東京ドームでは規模が桁違いでしょう。

真鍋:完全に、素人の集団がプロの中に入って行った感じで。でも、だからこそ自由な提案ができたと思います。レーザーでフォトクロミックの衣装に模様を書く案、蓄光する衣装の案など、10個くらいプロトタイプを作りました。最終的には風船を光らせつつ、それをニクロム線で割る作業が残りました。

M:「レーザーで風船を割りたい」とひとこと言ったら、すごく難しい割り方をしてくださって(笑)。

真鍋:実は、本番まで1回も成功していなかったんですよね。

菅野:リハーサルで1度もできていないということ?

真鍋:今思うと、それをあの規模でやっていたのはすごかったなと。

次ページ 「テクノロジー使いはコンセプトありきで」へ続く

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