テクノロジー使いはコンセプトありきで
菅野:2012年の「Spring of Life」のMVも真鍋チームが参加しての仕事ですね。田中裕介監督は、関監督とはアプローチが違って緻密な演出コンテを描いてきっちり撮る方ですよね。
真鍋:絶対にMVには映りこまないであろうところも、きっちり作りこんでます。僕たちは光る衣装やネイルの演出などを担当しました。ちょうどPerfumeの海外向けのサイトが同じころにローンチしたのですがWebサイトには3人自身は登場させず、音楽と振付の素晴らしさを伝えることに特化しました。Perfumeの3人のモーションキャプチャーデータと音源を配布し、2次創作ができるような環境を構築したのですが想像をはるかに超える作品数が生まれました。本人たちが踊る画は、ワールドツアーで初めて見せようという趣向です。
菅野:「Perfume Global Site」の最初のプロジェクトですね。アイドル的に愛されているアーティストのデータを配布するというのは、相当ぶっとんでいますよね。
M:この時は、事の重大さにマネジメントが気付いていなかったんです(笑)。まさか、後からあれほど話題になると思わなくて。
菅野:僕は2013年のカンヌライオンズにPerfumeが登場したプロジェクトで初めてチームに参加させていただきました。
M:ヨーロッパへのワールドツアーの一環でした。ワールドツアーって、日本のファンにとっては、嬉しいけれど、遠くに行ってしまう寂しさもあるもの。日本からも応援できるよう、日本のファンの皆さんが作った柄やつぶやきで3人の衣装をプロジェクションマッピングし、リアルタイムでステージに参加できるようにしたんです。
菅野:2週間前にPerfumeがカンヌに参加するというニュースを発表し、このニュースがツイートされるほど、彼女たちの姿が明らかになっていくというティザーサイト、1週間前にはダンスするPerfumeの姿に柄をデザインをすることができるサイトを立ち上げました。
真鍋:こういうものをコンセプトなしにやると、ただプロジェクションしているだけ、電飾が踊っているだけになってしまう。PerfumeのプロジェクトではMIKIKOさんがきちんとストーリーを構築しているのでプロジェクションする意味がきちんとある。その結果、作品に強度が出ていると思います。僕はMIKIKOさんからもらったお題をテクノロジーを用いていかにスマートに、効果的に見せるかを考える役目を担っていると思っています。翻訳作業とシステム設計半々ですね。