アイデアは映像で見せて伝える時代
菅野:MIKIKOさんが率いるダンスカンパニー「ELEVENPLAY」のお話も聞かせてもらえますか。
M: ELEVENPLAYは女性ならではの身体表現を追求していて、今自分自身が表現したいものを発表したり、実験する場なんです。
菅野:真鍋さんのチームも参加していますが、演出はお互いにアイデアを出すんですか。
M:テクノロジーでできることを真鍋さんにまず教えてもらい、それを私が音楽にはめていく感じです。
真鍋:最新の「モザイク」の時は、ドローンをコントロールするシステムができたので、ビデオで撮って「ひとつよろしく」という感じでMIKIKOさんに送りました。
菅野:まず面白い表現ができそうだというネタを送って、そこからMIKIKOさんがイメージを広げていくんですね。
M:このときはドローンの振付をまず考えて、それに合わせて3人のダンサーがドローンを演出するようなダンスにしています。
真鍋:演出が入らないと、僕らがやっているのはデモでしかない。それを人が感動できるものに変換するのが、MIKIKOさんの力です。テクノロジーのいいところを振付や演出の力で伝えていくのが上手いなと思います。
菅野:ドローンの振付ってどう考えるんですか?
M:ダンサーと接触しないように距離を取るのがまず一番で、その上で最大限できることを考えます。このときは、ドローンとダンサーの関係を視覚的に面白く見せようと考えていきました。
菅野:最新のテクノロジーを使っているけれど、作品には人間味がある。Perfumeも、テクノロジーが入れば入るほど、3人のアナログとしての素晴らしさが際立つところがいい。ちなみに、ドローンの購入など、費用面はどうしているんですか?
M:手弁当です。アイデアを伝えるのに、紙と言葉だけだと想像力が追いつかないことがあるので。そういう時、実験映像に何度も助けられています。
菅野:アイデアがどんな画になるかは、やってみないと分かりませんからね。広告はオリエンから制作まで期間が短いので、検証する時間が取れないことがほとんど。普段からやってみて、発展させてアイデアを育てておく。そういう研究開発がとても重要になってきますよね。
M:一見遠回りをしているようですが、検証できている強みはすごくあります。
真鍋:2014年末のNHK紅白歌合戦でPerfumeの演出にドローンを使えたのも、ELEVENPLAYでの実績があったからです。
M:紅白は生放送だし、転換の時間も1分くらいしかないし、お客様もいるし。ハードルはかなり高かったんですが、この映像を見せたらNHKの方もゴーサインを出してくれて。
菅野:この演出を紙のプレゼンで分かってもらうのは絶対に不可能ですよね。やはり、見せないと分からない時代になっているのだと感じます。ELEVENPLAYは、最近は海外公演の方が多いようですね。
M:はい。テクノロジーとダンスの振付が正確に合っているのが海外では不思議なようで、日本ならではの演出と思われているようです。これからも日本代表となれるような活動を続けていきたいですね。
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