どんな商品にもある「真実の瞬間」を見つけよう

デジタルマーケティングにおける「瞬間」

デジタルマーケティングにおいては、その「真実の瞬間」をマクロでもミクロでも、同時に考えることが重要になってきます。マクロに考えれば、デジタル上のカスタマージャーニーで消費者がどのステップに位置しているかによって受け取るメッセージを変えるべきです。これはCRM上のシナリオにも似ていますが、表現されるのはメールだけでなく、動画だったり、記事コンテンツだったり、ディスプレイ広告、リスティング広告など広範囲に渡ります。

だからこそ、デジタル広告をクロスメディアやマルチスクリーンに展開する際にも、単純に接触回数を増やすだけでなく、その瞬間のステップを主眼においたダイナミックな配信が重要になってきます。そのことで、「最近行ったばかりのハワイ旅行のバナー広告に、しばらく行く予定もないのに追いかけられる」といった、リターゲティングの煩わしさを避けることもできるかもしれません。

それを実現するためには、既存顧客つまりファーストパーティデータだけを対象にするではなく、なるべく直近で短期間の外部データ(サードパーティのデータ)をダイナミックなものとして取り入れるという方法もありそうです。(期間が短いためデータ量が少なく、実際は難しいのかもしれませんが)。

さらにミクロな視点では「誰か」という視点だけでなく、どんなメッセージを、という区別をダイナミックに決めることもできます。これは単に年齢、性別、履歴などのデータから商品レコメンドのような内容を分ける場合だけでなく、位置情報、時間帯、デバイスなどのデータから、「そのタイミングでもっとも価値があると思われる情報」というメッセージ選定が可能になるはずです。

例えば、土曜日昼14時ごろに六本木ヒルズのスターバックスから女性ものの靴をスマートフォンで検索しているというデータがあった場合に、同施設内のユナイテッドアローズで購入可能なニューバランスレディースの新作スニーカーの情報をクーポン付きで出す、とったシナリオです。このような状況以外にも、オーディエンスデータを興味、関心やデモグラフィックといった静的スタティックなものではなく、動的ダイナミックなものとして捉えると、オーディエンスデータは違う価値を持ち始めます。

つまり、ターゲットにとっての「イベント」、例えば引越しや就職などの機会を捉えることができれば、その時点での最大の機会創出をするマーケティングが可能になります。

もちろんファーストパーティデータで実施するほうがターゲティング精度は高くなりますが、機会を最大化するという視点で考えれば、人のターゲティングに縛られず、よりスケールする方法が可能です。飲料のように気温の上昇がイベント情報としてキーになるのでれば、ある温度に達したエリアは他のそうでない場所に比べて機会創出のポテンシャルは高まるはずです。

デジタルマーケティングでは、マス広告のような事前の買い付け時間や出稿スペースなどの制約なしにプログラマティックに機会を最大化させるテクノロジーを持っています。そのため、モーメンタムやダイナミズムを志向したマーケティングを安価にスピーディに実施できますから、まさにうってつけという訳です。

あなたの企業も、マーケティングの最大の機会創出のために自社なりの「真実の瞬間」を捉えてみてはいかがでしょうか。

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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