『恋愛小説』というタイトルに込められた意味
権八:『恋愛小説』というタイトルをつけられたのはどういった意図が?
原田:ラヴ・ストーリーが10個あるので“短編の小説”を読み進めていくようなものになればいいなと思ってつけました。全て洋楽のカバーですが、タイトルはあえて日本語で、この文字の並びも好きだなって。パッと見たときに、ジャケットを想像したときにこの言葉が一番いいだろうと。
権八:なるほど。
原田:歌詞も今回はちゃんと和訳をしていただいて、アルバムの中に入れてもらっています。だから一回は普通に聴いていただいて、その後は歌詞の和訳を読みながら再度聴いてもらえたらいいなと思っています。
権八:ぼくはノラ・ジョーンズの「ドント・ノー・ホワイ」が大好きなんですけど、初めてこの曲の和訳をちゃんと読みました。
原田知世 「ドント・ノー・ホワイ feat. ジェシー・ハリス」
原田:意外と知らないですよね。
権八:「私はワイン漬け」とか、そんなことを言っていたんだと(笑)。今回はアルバムのために全曲、改めて和訳されていますよね。それが突拍子もない意訳ではなく、一個一個が短編小説のような感じがあって、読み物としてもちょっとキュンときますね。ぼくは原田さんというと、トーレ・ヨハンソンさんと一緒につくられた「ロマンス」や「シンシア」を当時よく聞かせていただきました。あの曲の歌詞もご自身で書かれたものですか?
原田:はい、書いています。
権八:えーっ! そうだったんですか。今知りました、さすがです。
澤本:プロデューサーの方はアルバムによって違いますよね。鈴木慶一さんが担当されたり。それは原田さんご自身が「この人とやりたい」と思われて?
原田:そうですね、慶一さんとはCMがご縁で。私が歌をうたうCMに出たときの音楽を制作したのが慶一さんで、実際にお会いしたときは、ちょうどムーンライダーズのアルバムとソロを出された頃だったかな。はじめて会ったときに何となくピンときたというか、この方は面白いものを引き出してくれる人なんじゃないかという予感がして、お願いしました。
澤本:トーレさんとは鈴木さんからつながったんですか?
原田:トーレさんには慶一さんとつくったアルバムを送って聴いてもらったのがきっかけです。カーディガンズがすごく流行った時期がありましたよね。当時、あのアナログでポップなサウンドがとても印象的で、スタッフの方と「あの音の中に自分の声が入ったら面白いんじゃないか」という話をしていて。それでトーレさんからOKが出て、慶一さんとトーレさんに半々で担当していただいて曲をつくりました。
澤本:最近は高橋幸宏さんや高野寛さんも。ぼくらが「センスがいい」と思っているミュージシャンと、ずっと付き合い続けているという。