受賞作からみるメディア部門のレベル
昨年のテーマは、「耳や目の不自由な方の支援」。クライアントはSense Internationalという、目や耳の不自由な人々に対する支援活動を行っている団体で、キャンペーンの目的は募金促進。下記の作品が選出された。
ゴールド/Donate Your Sense/中国
クライアント名に入っている、「sense(センス)」という日常的な言葉に着目。プラグインをインストールした後、SNSで「センス」という言葉を入力すると、言葉自体がリンク元となる。「センス」をクリックすると、Sense Internationalのサイトへ行ける仕組み。
シルバー/A WORLD NEVER SEEN:LONDON FROM INSIDE/スウェーデン
20人の耳や目の不自由な人々をダブルデッカー(2階建て車両)に乗せ、ビッグ・ベンやハイド・パークといったロンドンの観光地をまわる。そのツアーをもとに、心の目で捉えた各観光地を絵にしてもらい、オークションでの販売、アートギャラリーでの展示などを行う企画。
ブロンズ/The Everyday Challenge/ノルウェイ
健常者の人が、目や耳を不自由にした状態でチャレンジする企画。例えば、目隠しをしながらグラスに水をつぐ、運動するといった様子をWeb上にアップしてもらう。
「見てわかる通り、デジタルやプロモーション、イベントの企画もあり、課題解決のためならソリューションの手口は何でもいいという企画対決になっている」(細川直哉さん)。
木谷友亮さんは昨年の作品を見て、次のように指摘する。
「1位の作品はプラグインをインストールしてもらわないといけない。わざわざインストールする人はいないと思う。2位は見えないのに色をどう選ぶんだろう。3位に関しては意図がよくわからない…。メディア部門は日本予選で1位になれば、本選でも勝てる可能性が高い。高校サッカーで言うと、全国大会の前の、静岡県予選を突破する方が難しいというようなものだと思う」。
「企画や仕掛けがシンプルで強いものなら、チャンスはあると思う。シンプルな企画、メッセージが大事」(柳貴男さん)。