「音楽不況」と言われる中で、近年その数を急速に増やし、規模を拡大してきた「夏フェス」をはじめとする音楽イベント。2014年実績では「RISING SUN ROCK FESTIVAL」がのべ6万人、「FUJI ROCK FESTIVAL」がのべ10万人、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」がのべ24万人を動員し、活況を呈している。フェス自体の収益に加え、会場までの交通や周辺の宿泊施設、飲食店、各種小売店などへの経済波及効果も大きく、地域活性化策の一つとしてイベントの誘致に力を入れる自治体もある。
日本で行われる多くのフェスが、北海道、新潟県、茨城県といった地域で行われ、「非日常」を味わえることがフェスの魅力の一つとされてきたものの、昨年日本に初上陸し、東京・お台場で開催された米国発の都市型フェス「ULTRA MUSIC FESTIVAL」は約4万人を動員、すでに第2回の開催も決定している。今後、こうしたイベントの成否のカギは、いかに他と差別化されたコンテンツを用意できるか、というところにありそうだ。
こうした中、これまでのフェスとは趣向の異なる新たな音楽イベント「PLAY TODAY music festival 2015」が、5月2日に東京・恵比寿のLIQUIDROOMで開催される。コンセプトは、「ミュージシャンと地域をつなぐ音楽フェス」。当日は、ジャンルを超えた17都道府県・34組のミュージシャンがそれぞれパフォーマンスを行うほか、日本各地でつくられた食品や雑貨を販売する物産展「PLAY market」も併催する。
イベントの企画・運営は、デザインや音楽に関する企画・制作を手掛ける企業、PLAY TODAYが担い、協力会社としてライブハウス運営などを手掛けるトゥー・ファイヴ・ワンと、コンサート・イベントの企画・制作・運営などを手掛けるエイベックス・ライブ・クリエイティブが参加する。
神奈川県の5人組ユニット「CICADA」、京都府のインストゥルメンタル・バンド「JABBERLOOP」、石垣島のエンターテインメントユニット「きいやま商店」など、出演するミュージシャンはいずれも出身地、あるいは現在の活動地が明確になっていることが特徴。イベント来場者に、ミュージシャンやその音楽を通じてさまざまな地域の良さを知ってもらい、将来的には現地へ足を運んでもらうことを目指している。
物産展に出展するのは、ミュージシャンたちの地元の企業が中心。米が原料のバイオマスプラスチックを使ったプロダクトを開発・販売する「VERY Rice!」(新潟県)、文具・生活雑貨を制作・販売する「アラスカ文具店」(岐阜県)、書店も運営する出版社「さかだちブックス」(岐阜県)など、メディアでも頻繁に紹介される味噌調味料「島豚ごろごろ」などを扱う食品メーカー「ゴーヤカンパニー」(沖縄県石垣島)と、バラエティに富む。
PLAY TODAYは今後、各行政や地元企業へのアプローチを強化することで、各地域に根づいた音楽活動や創作活動を、より一層活性化していきたいとしている。
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