クラウドソリューションなどの事業を行う日本オラクルは4月10日、クラウド型マーケティングプラットフォーム「Oracle Marketing Cloud」の新機能の提供を発表した。
同社は、4月9・10日、東京国際フォーラムにて、日本最大級規模のクラウドイベント「Oracle Cloud World Tokyo 2015」を開催。世界最先端のクラウドに関する最新情報や同社がサポートする企業のケーススタディなどが、2日間の130以上のセッションの中で紹介された。
2日目に行われた「オラクル・マーケティング・クラウド最新情報に関する説明会」では、オラクル・コーポレーション オラクル・マーケティング・クラウド エマージング・マーケット担当バイスプレジデントのエイブ・スミス氏が登壇し、「Oracle Marketing Cloud」の新たな機能拡張などを説明。
スミス氏は、長期的かつ有益な顧客との関係構築に向け、日本企業に求められるのは「モダン・マーケティング」だとし、モダン・マーケティングのキーワードになるのがデジタルだと説明。そのポイントに、「マーケターが使いやすいようにシンプルであること」「行動や特徴、嗜好に基づいてターゲティングする顧客視点」「エンタープライズの質を向上させること」の3つを挙げた。
「モダン・マーケティングが実現できていない一例として、現在はほとんどのマーケターがパーソナライゼーションを実現できていない。Harvard Business Reviewの調査によれば、96%の人がターゲット違いのメッセージやプロモーションを受け取ったことがあると答え、77%の人がブランドとの関係は購入後に形成をされると答えている。チャネルが分断化することで顧客体験がバラバラになってしまい、顧客に一貫性のある体験を提供せず、リアルタイムにも対応できていない」。
こうした問題点の背景にあるものとして、スミス氏は「キャンペーンの指標が『購買』にしかなっていない」と強調。「お客様のカスタマージャーニーはチャネルごとにまったく別のアクションをとっており、それに対応するマーケティングが必要。そのヒントはデータにある。実際、マーケターはデータを豊富に持っており、そのデータは真実を語りかけているはずだが、こうしたデータが効率的に活用されていないのが課題」だと話した。
このような課題を解決するべく今回拡張を発表した「Oracle Marketing Cloud」の新機能は、多岐にわたる。
取得した複数のオーディエンス・データをユーザーごとにひとつにまとめて一元管理する「Oracle ID Graph」、マーケティング・チャネルを一元的に管理する「Rapid Retargeter」の新機能では、企業のマーケティング担当者は顧客をより包括的な視点でとらえ、さまざまなチャネルを通してリアルタイムに、顧客に密接な対応を実現。また、「Oracle Data Management Platform(DMP)」では、「Lookalike Modeling(ルックアライク・モデリング)」と「OnDemand On-Board(オンデマンド・オンボード)」の2つの機能を追加。これにより、マーケターは、Web分析、電子メール・マーケティング、マーケティング・オートメーションなどの各ツールに散在するデータを収集し、ターゲティング精度を向上させることで、マーケティング・データの価値を最大化させることができる。さらに、クロスチャネル・マーケティング・ソリューションとeコマースにおける高度な検索と個別最適化を実現する「Oracle Commerce」 およびWebエクスペリエンス管理製品である「Oracle WebCenter Sites」を連携。eコマースサイトや各種デジタル・チャネル上で顧客に有益な体験を円滑かつ包括的に提供できるようになり、クロスチャネルによるマーケティング活動を通じたコンバージョン率の向上が可能になる、などだ。
いずれの機能も、「マーケターが使いやすいようにシンプルであること」「行動や特徴、嗜好に基づいてターゲティングする顧客視点」「エンタープライズの質を向上させること」の3つを実現するもの。スミス氏は、「ソーシャルメディアの台頭などで顧客が力をつけており、昨今はマーケターの役割が変わってきている。さまざまな課題を解決するためには、顧客体験を統合していく必要がある」と話し、セッションを締めくくった。
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