ボツ稿と、何か他のことをやろう、の間

翌日、来たメールには
「……お、おもしろいかもしれませんね。
べ、別にかまいませんが、この業界にいる方がご自分の仕事に落とし込めるなにか(ルール、しくみ)をいれてくださいね♡」

 

とあった。

 
そうだよね。

刀田さん、ごめん。

 
そんなわけで、ボツ稿にしました。

 
● ● ●

広告業界のすみっこで細々と生きている私ですが、
ひょんなことから中目黒で「コーヒー屋台」という小さな店をやることになりました。

Tinto Coffee Stand」という、ハンドリップコーヒーオンリーの、
「最も気軽な屋台で、最も丁寧なコーヒーをサーブする」コンセプトのお店だ。

スタバやコンビニなどで出している、フルオートマシンがどこまで行ってもなかなか到達できない、おいしいコーヒーの味がある、ということを知るのは、なかなかの驚きだ。

飲食店の経営のイロハを学ぶことになり、
コーヒーがさして好きではない私が、エスプレッソマシーンを買い、豆の焙煎にトライし、品種を勉強することになった。その過程で、サードウェーブなどのコーヒーの知識も学ぶことになった。

なかでも面白いのはクライアントの目線になるということ。

広告業界のクリエイティブにいる人たちは、たとえば
「なんだー、総予算300万か。しょぼっ。何もできないよー。ちょほほ」
などと嘆いたりしますが、
ホントはちいさな経営者としては、
広告なんぞに300万どころか、1円も払いたくないんですね。

寒風ふきすさぶなか、死ぬ思いをして、立ち仕事をして390円稼ぐ一杯のコーヒー。
魅力的なカタログをつくって、営業をして、なんとか成約する150万円のクルマ。
どちらも同じ、大事な大事なお金。

300万を稼ぐには、コーヒー1万杯売る必要がある。
誰が一週間で解けてしまう旧態然としたバナーに投下するかアホ、
誰でもリーチできるかわりに費用対効果の悪いCMに投下するかアホ、と思う。

SEOとターゲッティング広告と食べログが最も効率がいい。

 
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次ページ 「さて、何が言いたいかというと」へ続く

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中村 洋基(PARTY クリエイティブディレクター)
中村 洋基(PARTY クリエイティブディレクター)

1979年生まれ。電通に入社後、インタラクティブキャンペーンを手がけるテクニカルディレクターとして活躍後、2011年、4人のメンバーとともにPARTYを設立。最近の代表作に、レディー・ガガの等身大試聴機「GAGADOLL」、トヨタ「TOYOTOWN」トヨタのコンセプトカー「FV2」、ソニーのインタラクティブテレビ番組「MAKE TV」などがある。国内外200以上の広告賞の受賞歴があり、審査員歴も多数。「Webデザインの『プロだから考えること』」(共著) 上梓。

中村 洋基(PARTY クリエイティブディレクター)

1979年生まれ。電通に入社後、インタラクティブキャンペーンを手がけるテクニカルディレクターとして活躍後、2011年、4人のメンバーとともにPARTYを設立。最近の代表作に、レディー・ガガの等身大試聴機「GAGADOLL」、トヨタ「TOYOTOWN」トヨタのコンセプトカー「FV2」、ソニーのインタラクティブテレビ番組「MAKE TV」などがある。国内外200以上の広告賞の受賞歴があり、審査員歴も多数。「Webデザインの『プロだから考えること』」(共著) 上梓。

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