【前回の記事】「「コンテンツマーケティング」から逃げるな!と言われて。 」はこちら
前回の最後に書いた通り、ネイティブ&バイラルに象徴されるマーケティング手法は、総じて記事と広告のボーダーラインを見えづらくしていきます。これは今後のコンテンツマーケティングを考える上で重要なポイントであると同時に、ネット以外の通販広告にも大きく関わってくることです。
記事(コンテンツ全般)と広告のボーダーラインには二つの側面があると思います。一つは、同じページの中に記事と広告が混在しているため区別しづらい…というユーザー側からの視点。もう一つは、クリック後に読ませるページの表現(コピー)の問題。こちらは広告を作る側からの視点です。今回は、どちらの影響も受けやすい「記事広告」(制作がメディア側、広告主側どちらの場合も含む)を例に話を進めましょう。
まずは「区別しづらい表示」について。たとえば、新聞に通信販売の「記事広告」が掲載されているとします。5段、10段、15段(1ページ)などのスペースがありますが、どの場合でもタイトルの字体や本文の大きさや段組みなどを、周囲の一般記事と似せて、あたかもその新聞の記事のような体裁をとります。いかにも「広告」だとスルーされてしまうので、「記事」のように見せて立ち止まらせて「読んで」もらおうというわけです。もとの発想は「ネイティブ」と変わらないですね。念のために「広告」の明示もあります。でも、それを確かめるまでもなく、新聞の場合は、記事広告を本物の記事と見紛うようなことはほとんどないでしょう。新聞の広告スペースや位置は各社ほとんど同じだし、読者は長い経験から記事っぽい体裁の「広告」があることを心得ているからです。
一方、WEB上に「ネイティブ」として仕込まれる記事広告は、スペースや位置の「定型」がない上、メディアごとの記事フォーマットと同じデザインで表示されるため、ページの中で記事と広告が混ざり合って区別がつきにくいのです。一応こちらも「広告」であることは明示されていますが、ユーザーはその表示をあまり気にせずにクリックしてしまいます。
そのためか、こんな調査結果があります。ネイティブ広告をクリックしたことがある448人(対象/スマートフォンを利用している10~60歳代の男女1297人)に対して、「騙された気分になるか」を聞いたところ、46.9%が「あてはまる」、30.4%が「ややあてはまる」と回答した(株式会社ジャストシステム「スマートフォン広告に関するアンケート調査」2014年7月1日発表より)。
導入する企業が続々と増えているはずのネイティブ広告に対して、およそ8割もの人が「否定的」な印象を持っているとは驚きですが、WEBの場合、クリックでページごと遷移してしまうため、イメージと違うページに連れて行かれるとストレスを感じるのでしょう。制作側としては、クリック前に誘う「コピー」と、クリック後に「表示する情報」にギャップを感じさせない配慮が必要です。先月には、インターネット広告推進協議会(JIAA)が「ネイティブ広告」に関するガイドラインや定義を策定し、広告の責任の所在を明確にするために「広告であることの表記」や「広告主体者の明示」が必要と定めるなど対策も進んでいます。