アジア太平洋地域で展開された効果的なマーケティング・コミュニケーション活動を表彰する広告賞「アジア太平洋エフィー賞2015」の結果がこのほど発表された。最高賞のグランドエフィー以下、ゴールド17点、シルバー19点、ブロンズ24点の計60点が受賞し、日本からは博報堂がゴールドとシルバー、JWTがシルバー、電通中部支社がブロンズを受賞した。
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ゴールドには、青森県田舎館村の「Rice-Code」(博報堂)、シルバーには、オークローンマーケティング「ワンダーコア」のキャンペーン(博報堂DYメディアパートナーズ+博報堂)と、ネスレ日本 キットカットの「切符カット」(JWT)が選ばれた。
「切符カット」は、岩手県・三陸鉄道の全区間の乗車券としても使用できる「キットカット」。東日本大震災で甚大な被害を受けながらも、昨年4月に全線復旧を果たした三陸鉄道の開業30周年を記念して発売した。昨年6月に全国の駅のコンビニエンスストアや、東北地方のスーパー、コンビニエンスストアなどで発売し、2015年5月末まで利用が可能となっている。
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ブロンズに選ばれたのは、医療法人葵鐘会 ベルネットの「Mother Book」(電通中部支社)。
「Mother Book」は、産婦人科クリニックグループのベルネットが、妊娠初期の段階で分娩の予約を入れた人に配布するビジュアルブック。出産までの40週間を1冊の本にまとめたもので、ページをめくるごとにお母さんのお腹が少しずつ大きくなっていくなど、お母さんと赤ちゃんの身体が今どんな状態なのか、妊娠から出産までのプロセスを見える化している。昨年カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルに昨年新設されたアワード「ライオンズヘルス」の初代グランプリに選ばれたほか、ニューヨークフェスティバルのデザイン部門でFirst Prize、One Show 2014のデザイン部門でゴールドを受賞するなど、国内外で高い評価を得ている。
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なお、最高賞の「グランドエフィー」には、インドのNGO団体 Child Survival IndiaがHavas Worldwideと共同で実施した「No Child Bridges」が選ばれた。インドで社会問題化している児童婚(子ども同士の結婚)の啓発を目的に実施した同キャンペーンの軸は、一般参加型のアートプロジェクト「White Bindi Art Project」。「ビンディー」(ヒンドゥー教徒の既婚女性が額に施す装飾)のシールを販売、購入者がそれを縦180センチ×横120センチの額の中に貼りつけていき、若い女性のポートレートを描き出した。販売したビンディーは3万9000個にのぼり、これは全世界で1日に行われている児童婚の件数と同数だという。
エージェンシー・ネットワーク・オブ・ザ・イヤーにはオグルヴィ・アンド・メイザー、エージェンシー・オブ・ザ・イヤーにはオグルヴィ・アンド・メイザー・ムンバイがそれぞれ選ばれた。