大広がシンガポールの広告会社と合弁会社を立ち上げ、21日に営業を始めた。パートナーは現地の独立系広告会社アド・プラネット・グループ。同社のネットワークを活用し、大広は東南アジアでの事業拡大を進める。社名はアドプラネット大広。代表には、大広シンガポール駐在員事務所所長の影山亘(かげやま・わたる)氏が就く。
アド・プラネットはシンガポールでは大手で、2014年の売上規模は約20億円。デジタル施策やメディア買い付け、プロモーションまで幅広く手がける。政府系プロジェクトに入札できる「EPPU」資格も有する。この資格を持つのはほかに数社だという。
2015年末には、AEC(東南アジア諸国連合経済共同体)が発足する。周辺国の中継役であるシンガポールでは、さらにヒト・モノ・カネの流動性が増しそうだ。在フィリピンのメーカーに勤める男性は、「シンガポールは夢の国。フィリピンからは、多くの若者が出稼ぎに向かう」と話す。「物価は世界一、二を争うが、それだけ給料もいい。3~4年以上の経験を持つ技術者やリーダー層など、優秀な人材はみな旅立っていく」。
広告ではオンライン広告が活況だ。米コンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパーズによると、シンガポールのオンライン広告費は2018年まで年平均成長率10.3%で伸び、1億6200万米ドル(約200億円)となる見込み。高速ブロードバンド普及率116%、スマートフォン所持率90%前後といった、充実したインターネット環境を背景に、多くの国の広告会社が地域拠点を置き、オンライン広告の販売に力を入れる。ディスプレー広告が主流で、全体の4割超を占める。
メディア別の広告費トップは新聞で、2013年時点で7億8800万ドル(約960億円)。18年には9億500万ドル(1100億円)となる予測。ただ、日刊紙の販売部数や、フリーペーパーの読者数が減っているという不安要素もある。次いでテレビが、18年には4億5600万ドル(550億円)に伸長する見通し。地上波が8割を占めるが、インターネットテレビも普及しつつある。
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<訂正>
22日10時09分に掲載した当記事中の、「英調査会社ユーロモニター」とあったのは、「米コンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパーズ」の誤りでした。訂正いたします。