——自分の顔が広告会社のどの「職種顔」なのか診断するという点がユニークです。職種顔はどうやって分かるのでしょうか。
宇佐美:まず博報堂の若手社員約700名の顔写真を9つの職種ごとに合成して、平均顔を割り出しました。その平均顔とユーザーの顔写真の特徴をマッチングさせ、もっとも似ている職種顔を算出しています。平均顔は、社内からも「確かにそうだよね」と納得の声が出るぐらいに精度が高いものになっています。
齋藤:比較する顔の特徴は、輪郭、眉毛、目、鼻、口といった60カ所にものぼり、肌の色や髪型は含んでいません。「自分は、デザイナーだった」「営業だった」など、皆さんに楽しんでもらえました。
——なぜ採用活動のプロモーションで、この企画を行ったのでしょうか。
朝妻:今年から採用活動の期間が短くなったため、効果的に会社について伝えられるコンテンツをつくりたいと考えていました。また、「職種」をテーマにすることで、学生の会社への理解がより深まるという期待もありました。
宇佐美:適職診断はみんな好きですし、普段の会話でも「お前、クリエイター顔だよね」とかよく出てきます。学生が就職活動のときに必ず行う自己分析をエンターテインメント化すれば話題になるという狙いもありました。
——この企画を広めるためのプロモーションはどうしたのでしょうか。
宇佐美:採用サイトで紹介する以外はとくに行わず、SNS上での拡散を設計しました。この企画であれば、まず博報堂の社員が楽しむことが分かっていたので、そこから広告界に広がれば、先輩のSNSをチェックしている後輩の学生にも自然と伝わるだろうという流れです。実際には当社だけでなく、競合会社の社員、広告界以外で活躍している著名人までもが楽しんでくれて、予想以上に拡散しました。
齋藤:自分の顔は、なかなかSNSに投稿しづらいものです。そこで、顔をポリゴン化することでシェアしやすくなるように工夫しました。また、投稿時にユーザーが作成した顔が画像として出るように、それぞれ個別のページを自動作成するようにしています。さらに、細かい点ですが、顔を読み取れなかったときのエラーメッセージも「ヒトのDNAが見つかりませんでした」というものにして、面白がってもらえました。
——学生の反応はどうでしょうか。
朝妻:広告業界にどんな職種があるのか調べるきっかけになったという声をもらっています。スマホでも診断できるようにしたので手軽に行え、合同説明会の場でも話題にしてくれる学生がいます。プレエントリーも例年に比べて伸び、しっかり届いたという印象です。
宇佐美:採用活動で面白い企画をやっている会社はまだまだ少ないと思います。学生に「広告会社ってやっぱり違うね」といい意味で思ってもらえる機会を提供できたんじゃないかと思っています。
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