【連載企画】生活者に「選ばれる」企業をつくる デジタルマーケティング対談
第4回 リアルとデジタルで理想の接客 資生堂 笹間氏 × IMJ 加藤氏
Webを活用した総合美容サービス「watashi+(ワタシプラス)」の立ち上げなど、デジタルメディアを活用した顧客との接点拡大に取り組んできた資生堂。3年でさまざまな手応えや次なるテーマが見えてきたという。デジタル事業部長の笹間靖彦氏と、アイ・エム・ジェイ(IMJ)取締役COOの加藤圭介氏に聞いた。
顧客育成の取り組みは店舗もデジタルも同じ
加藤 資生堂は、2012年に公式サイトの進化形として「watashi+(ワタシプラス)」を、企業連合型コラボレーションサイトとして「Beauty&Co.(ビューティー・アンド・コー)」をそれぞれ立ち上げました。この3年を振り返ってみていかがですか。
笹間 デジタルに何か秘策があるわけではなく、リアルのビジネスと何ら変わらないということを改めて実感しています。
お客さまと出会う活動を地道に続けることで、資生堂のファンになっていただく、そしてサイトへの訪問頻度や購入額を上げていく。それは店舗でもずっとやってきたことです。
もちろん異なる点もあります。店頭で接客を担うビューティーコンサルタント(BC)によるカウンセリングのWeb版を「watashi+(ワタシプラス)」で始めたのですが、当初はなかなかお客さまが来てくれませんでした。
原因を調査した結果、お客さまはそれぞれに悩みを抱えており、それを解決するための自分に合う情報をWebに求めていることがわかりました。
そこで、WebBCはこちらが出したい情報を一方的に伝えるのではなく、お客さまが本当に聞きたいことを素早く「聞き出す」ことに注力するようにしました。
加藤 デジタルもリアルもマーケティングの本質は変わらないというのは、ご指摘の通りだと思います。逆に、マーケティングにデジタルが加わったことで変わったことはありますか。
笹間 企画時の仮説をデータですぐ検証できるようになったことです。結果は次のアクションに反映できるようになりました。また、膨大なデータをもとに、広告媒体、商材、切り口など、あらゆる面で常に新しいことにチャレンジできるようになりました。