【前回の記事】「編集者になったつもりで「広告」を見つめ直す。」はこちら
前回、広告作りを「編集」のノウハウに学ぶという話をしました。編集は文章ばかりではなく、写真やイラストなどのビジュアルや図表による解説など、あらゆる表現を選び、組み合わせて「情報」を伝わりやすくする技術です。もちろん、デザイナーやイラストレーター、カメラマンといった専門家が、それぞれに仕上げの仕事をするわけですが、一つのコンセプトに基づいて広告を作る時に、コピーライターがリーダーになることも多いと思います。そこで今回から2回に分けて、「レイアウトデザイン」とその周辺の話を少しだけ———
本当はWEB上のレイアウトも含めた話をしたいのですが、ネット上では制約が多いので、基本的には印刷媒体を仮定します。とはいえ、ネットの人も応用できる点はあると思うので参考にしてください。
まず、デザインを固めていくために「ラフスケッチ」(以下、「ラフ」)と呼ばれる下書きを描くのが一般的です。雑誌などの定期的な刊行物なら、本文や段組みのフォーマットが印刷された、原寸大の「レイアウト用紙」が用意されていると思いますが、もし、それが無い場合でも、必ず「原寸」にはこだわりましょう。小さな用紙にメモ書きのようなスケッチを何パターンも描く「サムネイル」などの方法もありますが、これは本業のデザイナーがアイディアのバリエーションを提示するもので、そもそもエディトリアル(編集物)デザインには不向きだし、本業でないチームリーダー(新米デザイナーも含む)こそ、「いきなり原寸!」のラフがいいと思います。(実際には、「ラフ」も「サムネイル」も「コンテ」も混同して使っている場合が多いので、どのレベルを求めているのかは現場対応で!)
「原寸」には理由があります。たとえばメインタイトルを書き込む際、原寸なら実際の誌面に何ポイントの文字(大きさ)で何文字入るのか? 1行取りにするか2行取りにするか?の目安が「物理的」にわかるのです。タイトル部分のプロポーション(大きさ&形)はとても大事で、ここが決まれば、「リード」の位置や、タイトル横に置く「メイン写真」をどのくらい大きくするか?の見当がつきます。すると、そのメインカットに写り込む商品の大きさは充分か?…いや、これじゃ小さすぎるから別の切抜きカットも用意しよう!…そういう一連のことが、すべて一発でリアルに判断できます。タイトルの文字数や、字切りが中途半端になってしまう場合も、この時点で調整、確定しておきましょう。横着して適当な大きさの紙に描き始めたり、導入部分をアバウトにしたまま進行すると、そのあたりが「感覚的」にしか捉えられないため、仕上がりが想像と違ったり、使いたい写真が入らなかったり足りなかったり…結局、後で修正が生じてかえって時間がかかったりします。