Arby’s ソーシャルメディアチームの日々の仕事
結城:偶然から生まれたソーシャル・ウェーブとはいえ、そこまでの波及効果を得られたというのは、 ソーシャルメディアの威力を感じずにはいられませんね。ここで、ジョシュさんの日々のお仕事とチームについてお話しいただけますか?
Martin:Arby’sのデジタルとソーシャルメディアコンテンツに関するすべてのことが私の業務です。具体的に言うとデジタルはArby’s.com(Eメール・テキストプログラム)、ソーシャルメディアはキャンペーンやコンテンツ、ペイドメディアなどを担当しています。
また、Facebook、Twitter、Instagram、Pinterest、YouTube、Google+などの運営もチームでこなしています。チームは3人体制で、私の他にデジタル・コーディネーター(Arby’s.comのアップデート、Eメールプログラム担当)、ソーシャルメディア・コーディネーター(上記のソーシャルメディアチャネルの監視、日々のコミュニケーションを担当)のメンバーがいます。
結城:チームの皆さんがソーシャルモニタリング・ルームでじっくりソーシャル・リスニングしているのがキモだと聞きましたが、チームのミッションはどんなことですか?
Martin:人々が幸せになるようなポストを作り、ファンの皆さんを笑顔にすることですね。
結城:そういう意味では大成功ですね! ところで、ジョシュさんご自身のバックグラウンドを教えてもらってもいいですか? どういうご経歴でしょう?
Martin:私はマーケティングなどを勉強した経験はないのですが、心理学の学位を2つ持っています。
大学院にいた時は、まさか自分がソーシャルメディアにまつわる仕事をするとは思ってもいませんでしたが、人々の行動やインサイトを知る上で、心理学は本当に役立っていると思っています。
私たちのチームは、お客さんが自分たちのコンテンツで笑顔になってくれることを目標としているので、どうすれば見る人を幸せにできるのかを追求したり、データの分析という点でも心理学を学んだ経験が活きています。
結城:アメリカのアカウントプランナーやストラテジストには、社会学や心理学専攻の方が多いですね。分析チームはどういったことに注意してモニタリングされていますか?
Martin:私たちのチームでは、消費者のインサイト、話題のあるイベント、文化的なトレンドなどをベースにコンテンツをつくるようにしています。
なかでも最も力を入れているのは、ソーシャルメディア上で起こっている会話のリスニングを徹底し、聞き取ったらすぐに返答する、何らかの応答をする、ということです。
それから、ブランドのキーメッセージを中心に、ファンやフォロワーを結びつけるイベントやキャンペーンを常に考えています。
例えば、ソースや肉の食材そのものがArby’sの提供価値であり、それが最もSNS上で語られていることだとすると、それをテーマにイベントや投稿するコンテンツを制作するのです。それらすべての中心にあるのが、先ほど言った、ソーシャルリスニングです。
結城:なるほど、ファンから学んだテーマに基づいてブランドメッセージが築き上げられ、ブランドの大きな価値から離れずに、消費者とのエンゲージメントに火をつけろ、ということから、Arby’sの“Fuel consumer engagement with brand ”という戦略ができたのですね。
ところで、 先におっしゃった3人のチームメンバーで、どのようなソーシャルリスニングを日々なさっているのですか?
Martin:この図にあるように、6つの軸があります。まず、ブランド分析では、ブランドに関するすべてのタイプの会話を聞き取って分析すること、プロダクト・ローンチについては新製品の発売や期間限定品も含めて、どんな商品が人気か、売れているのか否か、などをトラッキングし、製品開発チームと連携します。
インフルエンサー・モニタリングは、その日にインフルエンサーが発した言葉や有名人の動きをキャッチしながら、様々な事象やイベントに合わせていく。
イシュートラッキングというのは、何かクレームや問題が起こっていたり、気になることがあればそれを追いかけたり、キャンペーンや他社の状況分析もするというようなことが業務としてあげられますね。