高速バスの運営ノウハウをローカル鉄道へ、ウィラーが挑む地域創生

高速バスと鉄道を結ぶためには交通機関の連携が必要

——今回の丹鉄の運行事業が、従来の事業に対してブランド面、ビジネス面でどのような影響をもたらすとお考えでしょうか。

ブランド面での影響は大きいと思っています。グループのミッション「世界中の人の移動にバリューイノベーションを起こす。」を達成するための手段として、従来の高速バスに地域の交通インフラを担う鉄道が加わることで、あらゆる方法でミッションを達成しようとしているのだという、我々の本気度が伝わります。

また、この取組みは地域交通の在り方の一つの事例として、全国に横展開できると思っています。そのモデルとなる事例を最初に手掛けられたというのも、会社のブランドを向上させることにつながります。

一方、ビジネス面においては、すぐに「高速バスと丹鉄を結ぶ」という状況ではありません。やはり、域外から来た方が、車がなくても公共交通を乗り継いで、景勝地がすべて回れるような状態にすることが求められます。先ほどの立山・黒部などはまさにそれができていて、いろいろな乗り物の公共交通で回ることができます。

丹鉄エリアの景勝地である「天橋立」であれば、我々の観光列車以外に、舟で伊根に行くというルートや、そこから路線バスに乗り継いで観光することができますが、スムーズに移動できるほど整備されていません。そういう公共交通をしっかりつなぐことで、アルペンルートのように、個人旅行ができる仕組みを作っていくことが先決です。

それができて初めて、終着点や始発点に我々の高速バスを走らせることにビジネス的な意味が出てきます。ただ、これは我々だけでできるものではなく、ほかの事業者との連携が必須なので、時間はかかると思っています。

——2020年に向けての構想をお聞かせください。

まず、地元の方に「公共交通で手軽に移動できるようになったよね」という実感を持っていただくことです。ただ、物理的に人口が減っていくことは間違いありません。したがって、地元の方が便利に乗れるようなサービスを維持するためにも、域外の方の利用を増やしていきたいと思います。

地域の魅力を発信するとともに、地域自体が元気に活性化するよう、毛細血管となる公共交通網をしっかり整え、地域の活動を活性化する。そうして、2020年に「高次元交通ネットワークを実現した、日本で最も便利な街」と言われるように活動していきたいと思います。

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