鹿島建設×三井物産×サッポロホールディングス「社員のモチベーションを高めるインナーコミュニケーション」

グループ全体でタイムリーに情報を入手する

サッポロホールディングス コーポレートコミュニケーション部長 梅里 俊彦 氏

一方、サッポロホールディングスでは、以前は広報誌『麦苑(ばくえん)』を毎月発行していたが、2002年にいったん休刊されたことにより、社員が「会社が何を思い、どの方向に進むのか」を理解しにくいという課題に直面したという。その後、2008年に社内向けイントラネット「SAPPORO Web(Sweb)」を立ち上げ、2013年のポッカサッポロフード&ビバレッジ誕生時にはグループ会社向けイントラネット「グループSweb」を設置。各事業会社がいつでも自由に参加できる体制を築いた。グループ全体で鮮度の高い情報を共有するためSwebにほぼ毎日新たな情報が更新されている。

また梅里氏は、「当社は外国籍従業員の比率が25%に達しており、地域によっては情報管理上の問題でイントラネットの情報を取得できない社員が存在する。グローバルで情報をカバーするためにも、
年間6回グローバル社内報の発行を始めたところだ」と述べた。

社内報は社員や関係者に読まれて初めて価値が生まれる。ちなみに「Swebで特に関心が高い話題はトップの発言など会社の方向性を示す内容のもの」ということだ。

現場の意見を吸い上げ、深掘りする

紙媒体の社内報である『月報KAJIMA』(鹿島建設)や『MBK LIFE』(三井物産)は定期的にアンケートを実施して効果を測定している。財部氏は「自社調査では『月報KAJIMA』を『読んでいる』と回答した人は全社員の約75%で、インターネット上で最もPVが高いのも『月報KAJIMA』から転載した記事」といい、高い閲覧率を維持できている理由を「経営者をはじめとする社員一人ひとりが対峙する“現場”にこそ本質的な情報がある。その現場の情報を吸い上げて深掘りすることが大切で、“現場主義”にこだわり続けることで、社員の関心を集める広報誌になるのではないかと思う」と分析した。

2014年4月に現職に就任するまで、長く営業畑を歩んできたという梅里氏も、「現場に足を運ぶことは重要。現場の空気感は関係者に話を聞いただけでは分からないのでリアルに伝わらない。だからイントラネットを担当する部員には極力現場へ行くように話している」と述べた。

磯﨑氏は「社内調査の結果、社内報もイントラネットもよく読まれていることが分かっている。インナーコミュニケーションで社員のモチベーションを高め、一体感も醸成しながら、最終的にそれをポジティブなエネルギーとして社外に発信できるようにする。インナーコミュニケーションと社外への発信とを上手くつないで、より良い広報活動を目指して努力していきたい。」と語った。

一方、鹿島建設では社内報を社外にも配布している。その反響について、財部氏は、「広報誌を見た社外の方から『あんなに立派な建造物を手掛けているなんて、すごいですね』といったように、外からは見えにくい自社の実績について社員に直接声をかけてもらえる。そうしたことが仕事や会社に対する誇りを醸成し、社員が外に向けて積極的に情報発信しようというモチベーションにつながるのだと思う。紙、映像、インターネット、空間など様々な媒体をうまく使い、より効果的に情報を発信する広報活動を続けていきたい」と語った。


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