ユーザビリティとブランディングのバランスを重視
セミナーではまず、日本ロレアル ロレアルリュクス事業本部 デジタル/eビジネス/CRM統括部長 兼 クラリソニック事業部 事業部長の井上千鶴氏が登壇、「ブランド企業のEC戦略」と題して基調講演を行った。ランコム、イヴ・サンローランなど複数のブランドでECサイトを運営する同社の事例を紹介した。
ECサイトでは、コンバージョンレートを上げるために消費者が迷うことなく購入できるサイトデザインが求められるが、買いやすさだけを追求するとブランディングにとっては逆の効果を生む場合がある。
井上氏は「各種データやテスト、PDCAを繰り返しながらユーザビリティとブランディングのバランスを取るように心がけている」と話した。
オフラインのプロモーションとの関係、連動についても、品揃えや製品のローンチカレンダーをオンラインと共通化しサービスを提供。ポイントプログラムなども含め、消費者がオンライン、オフラインのどちらでも同じサービスが受けられるようにしている。
一方で、それぞれの特性に合わせ、メリットは生かし、デメリットを克服するようなサービスを提供し「そうすることでブランドとしてのユーザーエクスペリエンスが上がるのではないかと思う」(井上氏)と話す。
メディアストラテジーとしては、ROIやROASを評価基準として、優先順位をつけており、質の高いトラフィックを生むサーチ系のアクティビティに次いで積極的に行っているのがCRITEOのサポートによるリターゲティング広告。
「2013年にランコムECサイトでのCRITEOローンチ以降、現在ではサーチからのセールスの10%近い数字がCRITEOからとなっており、非常に成功しています」(井上氏)と話し、2015年にローンチするクラリソニックブランドのCRITEOへの期待も口にした。
続いて、CRITEO 日本担当マネージングディレクター 鈴木大海氏が「プロダクト・ロレアル様事例の紹介」と題し、同社の事業内容や、導入事例を解説した。
鈴木氏は費用対効果を提供するディスプレイ広告のサービスを「パフォーマンスディスプレイ」と表現し、その特長をコンバージョンを実現するための豊富な配信ネットワーク、最適なターゲットを選定し、最適なバナーを表示するためのエンジンと、認知を得るためのバナー表示におけるクリエイティブだと紹介。
日本ロレアルのクラリソニックブランドで実験的に導入している、ブランド訴求とパーソナライズを同時に実現するテンプレートについても触れた。
今後は、モバイルも含めたクロスチャネルでの運用が重要となり、特に日本でのモバイル利用の多さを指摘。
鈴木氏は適切な頻度で、適切なバナーを適切なユーザーに届けることがオンラインマーケティングにおける重要な三要素で「今後もエンジンの精度を高め、配信チャネルの拡大などより良いサービスをお届けしたいと考えている」と話した。