小林:我々が開発したのは、スマートフォンがその時々に合った話題を見つけてきて、話しても良いタイミングに話しかけてくる機能「エモパー」です。スマートフォンにおけるお客様の関心は、いまやほとんどSNSなど画面の“中”に向かっています。これをスマートフォン“本体”にも関心を持ってもらいたいという思いから生まれました。
機能としては、まず持ち主に話しかけてもよい場所(家)にいるかどうかを低消費電力センシングで検知し、その上で、ユーザーのコンテクストに添った話題をタイミングよく話しかけてくれます。例えば、朝起きて雨が降っていれば、「おはようございます。今日は雨が降っているので、傘を忘れないようにしてくださいね」といったようにです。他にも、「今週末お祭りがあるので行ってみたらどうですか」などインターネットの中から情報を探してきて、話しかけることもあります。平たく言うと情報提示機能なのですが、センシングとゆるさが大きなポイントになっています。
ローンチしたのが2014年の11月。NTTドコモ様向けのSH-01Gという機種を皮切りに国内3キャリア様向けの商品に載せていますが、利用率は約3割程です。音楽プレーヤーをスマートフォンで使われている方が3割前後なので、そう考えるとこのように一風変わった機能の割には、多くの方に利用していただけていると感じています。
エモパーのあるスマホライフというコンセプト動画をYouTubeにアップしているので、ぜひ興味のある方は後ほどご覧になっていただければと思います。
萩原:私はソニー社内のスタートアップ的な取り組みである「MESH」プロジェクトを担当しています。「MESH」とは、ボタンスイッチやLEDライト、動きをとらえる加速度センサーなど、一つ一つ違った機能を持つ小さなブロック形状の機能タグ(MESHタグ)で、アイデアを自分の手で形にできるツールです。家電や生活雑貨などに埋め込んだり、貼り付けたりして使います。
例えば、タブレット上でボタンスイッチタグとLEDライトタグをつなげて、離れた場所からスイッチを押してLEDライトが点くようにしたり、加速度センサータグをフォトフレームに貼りつけて、フォトフレームを持ち上げることで自動的にメールが送信されるようにすることもできます。自由な組み合わせで、アイデアを形にすることができるんです。
皆さんは、何か実現してみたいアイデアを考えても想像で終わってしまったり、頭の中でもっとあれがこうなったらいいのに…と考えていることはありませんか?MESHはそうしたアイデアを実現するための創造のツールにしたいと思っています。
ただお見せしてもなかなか伝わらないので、プロトタイプの段階からワークショップをあちこちで開催し、実際に色々な方に作ってもらっています。やはりユーザーさんに触ってもらった方が面白いですね。考えることと作ることの間のギャップを埋めることが、このプロダクトの一番の意義だと感じています。
——MESHはもう買えるんですか?
3月末までクラウドファンディングをやっていて、無事成立した段階です。これから事業化を目指していくので、今は購入はできないのですが、今後のアップデートはサイト上でまたお伝えできればと思います。