<パネラー>
- パナソニック コンシューマーマーケティングジャパン本部 コミュニケーショングループ クリエイティブチーム主幹 高須 泰行 氏
- ジョリーグッド 代表取締役 CEO 上路 健介 氏
- ジェイアール東海エージェンシー 交通広告部 販売・SPメディアチーム サブリーダー 川合 勲 氏
求められるシチュエーションに合う広告
——最近の取り組み事例を紹介ください。
高須:交通広告、OOHというと東京、大阪がメインになりがちですが、最近は地域単位での取り組みも強化しています。例えば、北海道は家庭でのエアコンの普及率が低く、暖房器具としての利用率も高くない。そこで「さっぽろ雪祭り」にエアコン体験ブースを出し、エアコン1台でブースの中を暖め、ハワイのように演出しエアコンによる暖房を知ってもらう機会をつくりました。地域を絞り、各地のライフスタイルに自然にフィットする形の広告、メッセージの発信ができないかということに取り組んでいます。
上路:私は先端テクノロジーとマスメディアコンテンツを使い、新しい体験をつくることが専門です。今年9月、2回目の「ウェアラブルテック エキスポ イン トーキョー」を開催、テーマはウェアラブル端末やインタラクティブ、IoTです。
川合:2014年10月に名古屋駅で、デジタルサイネージ「シリーズ・アド・ビジョン名古屋」をスタートしました。翌月にはこの媒体とBluetoothを活用し、O2O(Online to Offline)にOOHのOを加えたO2O2Oの実証実験をしました。凸版印刷さんの「Shufoo(シュフー)」と、キリンビールマーケティングさんの「キリン一番搾り」、サークルKサンクスさんと共にサイネージとスマートフォンを連動して送客する試みで、1週間で約1500人のアクセスがあり、その86%の人を店に送客しました。
——移動者とのコミュニケーションで意識していることは
高須:最近は女性が外で働く割合も多く、テレビや新聞より交通広告、OOHなど移動中のコミュニケーションに価値が高まっていると考えています。これまで接触率の高さで交通広告、OOHを評価してきましたが、場所やタイミングに応じた、生活者に深く届くクリエイティブの工夫が大事になると思います。従来よりも多少制作費が高くなったとしても、生活者に深く届く方が絶対に良いということで、トライを始めています。
上路:情報を出すだけのサイネージはそろそろ過去のものになるでしょう。鍵はいかに「自分ごと」化させるか。例えば秋田に設置のサイネージだったら、カメラが設置してあって、自分が「なまはげ」に変身しているように見える仕掛けがあるとか。その場所にちなんだインタラクティブ性を、テクノロジーはもちろん、コンテンツやキャラクターを利用して実現していけるのではないでしょうか。