昔よりもCM表現の規制が厳しくなっている?
権八:そうですね、知りたいですね。気になっちゃいますよね、このご時世。納得いかない話が多いじゃないですか。なんで原発止まらないんだろうとか、なんでいま集団的自衛権・・・ちょっと真面目な話になっちゃうけど、基地の問題なんかもなんで沖縄の人をこんなに犠牲にするんだろうとか・・・。
澤本:そうそう。なんで放送局に政府が色々言いに行ったりするんだろうとかね。
権八:そうなんですよ。古賀さんがああいうフリップを報道ステーションで出したときがありましたけど、僕なんかは結構、おお頑張ってるなぁ、と思いましたけどね。いや、CMの考査でも何となく感じますからね。前も話しましたけど、たとえば飲み屋でサラリーマンが「景気がいいと言うけど、俺のところまで回ってこない」みたいな話をしてるだけで、放送局が「これは政権批判じゃないか」って流してくれない。昔だったら、そんなCMは余裕で考査通りましたよ。だって飲み屋で景気の話するってサラリーマンの本分じゃないですか(笑)。
中村:そうですよね。
権八:だから、モノが言いにくいというか、表現しづらいなぁと思いますけどね。特に政治的な意図はないのに、メディア側が非常に過敏になっている感じがあって。
澤本:古川(裕也)さんが昔、子どもが怒られているイミダスのCMをつくって。その子どもの名前がサダムで、「サダムー!何やってんの、もっと仲良くしなさい」というセリフがあって。今はこれ、絶対に通らないだろうね。
権八:「サダムー!バカ、コラ、やめろ!」とかいうやつでしょ(笑)。素晴らしいよね。広告が社会問題や政治的なことを扱ってはいけないというムードが昔よりもあるし、放送規定でしてはいけないことになっている。何らかの立場に肩入れしてはいけないと、それは分かる。ただそうじゃなくて、危機感があって、問題提起はしたい。あ、そういえば、渋谷区長に長谷部健(ハセベケン)さんが当選しましたね。
澤本:ボランティアでゴミ拾い(編集部注:NPOグリーンバードの活動)をしていた人だね。
権八:そうそう。元博報堂の方らしいですね。例の性的マイノリティーの問題を頑張ってやられていて、渋谷区は全国で初めて同性愛者のカップルに結婚相当の権利を与える条例をつくりましたよね。他にもナイキと一緒になって渋谷の宮下公園のリニューアルや、シブヤ大学をつくったりと面白い施策をされていて。長谷部さんは子供も3人いらして、子育て支援のこととかもすごく頑張ってる感じがあって。
中村:なるほど。
権八:NHKの選挙速報を見たんですけど、長谷部さんは「自分は特に何かをできるわけじゃないから、みなさんに知恵を貸してほしい」と言っていて。「渋谷区から色々なスターが出てくるように、プロデューサーとして自分は頑張りたい」とおっしゃっていて。そのプロデューサー感覚みたいのは、これまでの首長とは違うタイプの人だなと。いいなと思いましたね。
澤本:そのまま変わらずに、続けてくれるといいよね。
権八:そうですよねえ。長谷部さんは大丈夫そうですけど。あれ、なんなんすかねえ、日本の政治家って公約を掲げるときは凄く立派なのに、なってみると全然果たせなかったりする。
澤本:公約を守らなかったら「守らなかった」ステッカーを貼るというのはどうかな?
権八:「守らなかった腕章」みたいな(笑)。