ここでは、『販促会議』2015年5月号に掲載された連載「販促NOW-アプリ編」の全文を転載します。
ひとり暮らしや夫婦共働きで困るのが、不在中の宅配便だ。平日夜にポストに入っている不在連絡票。電話あるいはウェブに接続して、再配達日を登録するのが結構、面倒だったりもする。何桁もある荷物番号を打ち込むのに、間違えたりするから厄介だ。また、宅配便の送り状を書くという作業も、結構、手間のかかることだったりする。
常日頃から「もうちょっと、楽に申し込めないものか」と思っていた。そんななか、ヤマト運輸のスマホアプリを改めて使ったところ、便利すぎてちょっとビックリした。
再配達の依頼は、アプリを起動し、不在連絡票にある二次元バーコードをカメラで読み込むだけで良い。もちろん、送り状番号を打ち込んでもいいのだが、カメラで読み込めばすむので、間違える心配が少ない。あとは再配達をしてほしい日時を選択すればいいので簡単だ。
アプリでは、配達状況を確認でき、送り状の作成などにも対応している。メンバー登録しておけば、よく送付する宛先を登録しておけるので、すぐに呼び出して、送り状を作成するといったことが可能だ。これまでも、ヤマト運輸のクロネコメンバーズには登録していて、よく送る先の住所は登録しておいた。しかし、送り状を作成するのにPCを立ち上げていたので、結構、面倒に感じていた。
送り状の作成もすべてアプリで完結するだけでなく、送り状の印刷も、クロネコヤマトの営業所で出力するだけでなく、自宅のプリンタで、無線経由で印刷するといったことも可能だ(AirPrint対応のプリンタが必要。iOS5.0以上が対象)。
まさに、これまでPCでやってきたことはほとんどがスマホアプリでできるようになっていた。さらに、カメラを内蔵しているというスマホの特長を利用し、送り状番号の二次元バーコードをカメラで読み込む機能ができて、利便性が向上していたのには驚いた。
スマホアプリは、「面白い」と思っても、継続して使うアプリは限られてしまう。企業側としては、アプリによるプロモーションを継続させるのが難しくなってきている。しかし、ヤマト運輸の場合、顧客に提供するサービスに直結していて、誰もが利便性を感じられるアプリに仕上がっている。アプリで簡単に送付状が作れるのであれば、次もヤマト運輸で荷物を送ろうという気にさせてくれる。
そういった面で、顧客側もサービス提供側もメリットを得られるアプリに仕上がっているように感じた。
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石川 温氏(いしかわ・つつむ)
ケータイ・スマートフォンジャーナリスト。1999年に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。『日経トレンディ』編集記者を経て03年に独立後、ケータイ・スマホ業界を中心に執筆活動を行う。メルマガ『スマホ業界新聞』(ニコニコ動画)を配信中。
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