キヤノンマーケティングジャパン × 味の素 × 三井不動産—「広告とPRを融合させ、コミュニケーション効果を高めるには」

「最高コンテンツ責任者」が必要

——共通のゴールを見据えることが、相乗効果を生み出すポイントですね。

松阪:共通ゴールを持つことは緊急の課題です。コミュニケーション本部では「Challenge、Communication、Collaboration」の「3C」を行動スローガンに掲げているのですが、特にコラボレーション、連携に関してはなかなか難しいですね。

「部門ではなく全体最適」と言い続けて実践することで、浸透を図りながら、人事ローテーションによって視野の拡大を促しています。

徳田:部員の評価軸は、私も課題に感じています。広告とPRで共通ゴールを見据えるためにも、小さくても両方の融合で相乗効果を実感できる成功体験を積むことが重要だと思っています。

2014年の秋、日本橋の福徳神社を再建した際、神様を仮殿から移す「遷座祭」にメディアを誘致し、同時に広告を出稿しました。これは事業としては小さいですが、共通ゴールとして訴えたかった「街づくりで大事なのはコミュニティ」だという姿勢が伝わり、外部から反響を多くいただきました。こうした積み重ねで、連動して動けるようにしていきたいと思います。

髙橋:CCO(最高コンテンツ責任者)と言えるポジションがあるといいのですが、広告部と広報部が独立しているので、組織を変えずに横串を通せる仕組みをつくりました。

今、「CSV(共通価値の創造)」の概念が広がり始めていますが、味の素でも「事業を通じて社会的課題を解決し、社会や地域と共有する価値を生み出す」、そして「結果的に利益の分配を得る」という考え方を取り入れました。

そこで2014年、経営層に対して、あらゆるチャネルを統合してCSVを実現する活動を提案。CCO的な機能として、全事業部の部長と関連会社が参加する、既存の「ブランド会議」をもっと活用することにしました。

これを母体とし、研究所や商品開発部からメンバーを集めて組織した「コンテンツバンク」と連携することで、ひとつのコンテンツを広告とPRへどう展開して「Like」へつなげるかを探り始めています。

——最後に今年度取り組んでいきたいことを聞かせてください。

徳田:広告とPRの連携事例は、まだコーポレートコミュニケーションに留まっています。今年は事業会社が運営する「ららぽーと」など、複数の大型ショッピングセンターの新規開業も控えているので、事業ラインとの連携にチャレンジしたいと思います。

松阪:今や事業の7割がITや医療などのBtoB領域ですが、カメラやプリンターのイメージが強いので、BtoB領域でのコーポレートブランド向上が課題のひとつです。

また、デジタルマーケティングは試行錯誤の連続です。挑戦を続けることで社内に知見を蓄積していきたいと考えています。

髙橋:先ほどの「ブランド会議」と「コンテンツバンク」の活動がスタートしたばかりなので、まずはこれらを軌道に乗せたいと思います。そして、グループビジョンに据えている「グローバル・スペシャリティ・カンパニーの実現」を目指していきたいと思います。


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AdverTimes DAYS 2015
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