OEM生産から脱却→自社ブランドへの切り替えで、どら焼き生産量世界ナンバー1に——丸京製菓「丸京庵」

今後はグローバルとECを強化

2002年に掲げた「丸京ビジョン2010」に続き、2012年には「丸京ビジョン2020」を策定。そこでは、グローバル展開のさらなる強化と、ECの強化が戦略の中心に据えられている。グローバルについては、台湾、タイ、アメリカ西海岸に工場を設立しているところで、これにより、現地の消費者の嗜好に合わせた商品開発を強化していくという。

「基本の『つぶあんどら焼き』はどの国でも販売しますが、その他は国ごとに異なる商品に柔軟に対応していきたい。例えばパイナップル、マンゴー、タロイモなどのどら焼きが、すでに商品化しています。洋菓子ではなく和菓子だからできることを大切にしながらも、現地に合わせた商品開発に挑戦し、そのノウハウは氷温熟成製法と同じく、数値化して残していくことを重視したいと考えています」。

現在の海外売上比率は20%だが、来期には30%にまで伸ばしていく予定だという。また、EC事業については、職域、病院、学校、官公庁などの職域売店に専門特化して展開する。

「ネットで販売されるお菓子は、“お取り寄せ”“プチ贅沢”など特別なシーン向けの商品がほとんど。創業からこれまで一貫して流通菓子を扱ってきた当社がECをやるのなら、『出来たてのお菓子を安く直送できる』ことを強みとした法人向けのサービスがフィットすると思いました。既存サービスに、アスクルや『オフィスグリコ』がありますが、和菓子は日持ちしないために、両社があまり取り扱っていないので、そこに上手く入り込めたら」。

それに向けて、現在は米子本社と東京・中延の2店舗がある直営店「菓子庵 丸京」の展開も拡大していくという。ECのスタート時、直営店がある程度の規模で展開されているほうが、顧客の安心・信頼を得やすいのではと考えたためだ。

「直営店は売上目標の達成というより、アンテナショップ的な機能を想定しています。私たちはメーカーで、しかも長年OEM、PBを手掛けてきたことから、お客様の生の声が聞きにくい状況にありました。商品に対するお客さまの反応をダイレクトに感じられる場づくりを、販売スタッフの育成と並行して進めていきたいと思います」と話した。


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