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福井県に本社を置き、日本茶、紅茶、健康茶、ハーブティーなど200種類以上のお茶を取り扱う専門店「椿宗善」。福井、金沢、東京の3店舗とオンラインストアを展開しており、特に結婚内祝い・出産内祝い・仏事のお返しといった、ギフト需要を創出することを目指している。2013年に創業した椿宗善のこれまでの歩みは、お茶のパッケージ資材の印刷・製造を手掛ける吉村のデジタル印刷「エスプリ」なしに語ることはできないという。椿宗善の山口健治社長と吉村の橋本久美子社長、そして椿宗善が今年4月にオープンした新店舗・広尾店のオーナーを務める長田佳子さんが、お茶の需要創出・拡大における商品パッケージの役割について話した。
橋本:山口社長と初めてお会いしたのは、椿宗善を設立される前、お茶の専門店「三國屋善五郎」の代表をされている頃でしたね。お茶市場の縮小という現実を受け入れた上で、「お茶に興味を持ってもらうために、何ができるか」というアイデアを、楽しみながら考える。その姿勢に共感を覚えました。
山口:自ら立ち上げた三國屋善五郎は、全国30店舗以上と規模が大きかったこともあり、吉村さんとのお付き合いは現在ほど深くありませんでした。しかし、「マーケティング発想で、お茶の新しい需要を生み出したい」との思いから独立を決意し、椿宗善を設立。ギフトとしてのお茶を提案することで、お茶と接する機会を増やしていきたいと考え、パッケージにもこだわった商品ラインアップを展開しています。用途・季節ごとにさまざまなパッケージが必要になることもあり、小ロット印刷が可能な吉村さんの「エスプリ」を活用するようになりました。
橋本:山口社長のパッケージデザインへの妥協の無さに、いつも驚きます。
山口:新規のお客さまに買っていただけるかどうかは、ほぼ見た目で決まると考えているためです。中身を評価して買ってくださるのはリピーターの方です。中身はもちろん重要ですが、そればかりに目を向けていては、お客さまは増えません。パッケージデザインはコストではなく、ブランドとして成長していくために必要な投資です。
橋本:山口社長は、よく「総合品質」という言葉を使われますね。お茶業界で「品質」と言えば、茶葉そのもののことを指すのが一般的。しかし実際には、お客さまは店構えや接客、パッケージといったさまざまな要素を総合的に評価して、価値を判断しているのだと。
山口:例えば83点の味と85点の味があったとして、その微妙な違いを見極めることができる人はそう多くない。椿宗善は、店舗や接客、そしてパッケージも含めて愛されるブランドになりたい。椿宗善でお茶を買っていることを周りの人に自慢したくなる、そんな存在になりたいのです。とは言え、こだわり抜いたデザインがお客さまに受け入れられるかは、店頭に並べてみなければ分からない。トライ&エラーがしやすい点も、小ロットのメリットだと感じます。200年以上続く老舗のお茶屋を家業に持つ長田さんとの恊働で実現した広尾店のオープンも、エスプリを生かしたプロジェクトの一つです。
長田:これまで茶師として働いていた「ながた茶店」では、パッケージに目を向けることなく中身だけで品質を捉えており、販売に限界を感じていました。そんなとき、かねてより親交があった山口社長と茶業の将来を語るうちに意気投合。椿宗善の世界観に合わせて従来商品のパッケージを刷新し、「女流茶人シリーズ」としてプロデュースしてもらいました。
山口:お茶の楽しみ方は時代によって変化するもので、また多様で良いとも思います。味やパッケージだけでなく、「女流茶人」という「人」も、お茶を楽しむ上で、とても魅力的な要素のひとつになり得ると考えたのです。
長田:椿宗善としてスタートし、若い女性のお客さまが圧倒的に増え、「アイデア次第で需要はつくれるんだ」と日々実感しています。
橋本:新しい需要を創出し、業界を盛り上げ、受け継がれてきた文化を次世代に伝える。そうした動きは、お茶以外のカテゴリー、例えばお米をはじめとする和食の食材などでも起こり始めています。山口社長や長田さんをはじめ、業界の変革に挑戦するプレイヤーとともに、新しい価値創出に取り組んでいきたいと思います。
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