キャッチコピーではなく、キャッチ概念を書く。

高知家がもたらした効果。

「高知家」が誕生したのが、2013年の5月。
それから2年が経ちました。
移住者数は、始める前と比べて、
年間約3倍になりました。
また、「高知家ピンバッジ」は、
今では19万個以上出荷しています。
県民の4人に1人がもっている計算です。
その他企業とコラボしたり、
高知家グッズが山ほど出たり、
高知県は今高知家だらけになっています。
多分僕がこの仕事を外れたとしても、
高知家はまだしばらく活躍してくれるはずです。

高知県のそこかしこで見られる高知家。

ところで、高知家という言葉を開発したとき、
僕の中には「キャッチコピーを書く」
という発想はありませんでした。

ここから先の話は、
あくまで一人の冴えないコピーライターの戯言前提で
聞いて頂きたいのですが…。
マスメディア全盛期には、
キャッチコピーは効きました。(と聞いています)
人をドキッとさせたり、ホワンとさせたり、
アハハとさせたり、そうそう!とさせたり。
そんなキャッチコピーが、企業価値を上げたり、
商品の販売促進に貢献していました。
キャッチコピーが、企業や商品の「外部スペック」として、
抜群に機能していました。(と聞いています)

今でも、キャッチコピーは、
マーケティングの一部としては効果を発揮します。
ただ残念ながら、その限界があるのも事実です。
(僕の力量不足ということでもありますが)
急速に透明化が進んでいる現代社会において
都合のいいイメージを企業や商品に
付与することは困難です。
また、仮にキャッチコピーが人の感情を動かしたとしても、
それが商品購買に直結するということでもありません。
(その先に重層的な壁がまだ立ちはだかります)
キャッチコピーがマーケティングの中心を担う、
という事が考えられにくくなっています。

では、コピーライターの未来は絶望的なのでしょうか。
そんな事はありません。
むしろ、益々活躍の場が広がっていると日々感じています。
何故なら僕らは、今まで培ったコピーライティング技術を応用して、
「キャッチ概念」なるものを書くことができるからです。
この話はこの話で恐ろしく長くなるので
ほぼ割愛させて頂きますが、
無理矢理コンパクトに言うと
「時代が求めるコアコンピタンスの発見・合言葉化」を行うことで、
高知家のような「キャッチ概念」を開発することができます。

キャッチ概念は、偉大です。
うまく機能すれば、
その上を様々な人・モノ・お金が動きます。
その言葉は、「0円にして最良のインフラ」とも言えます。

キャッチ概念がうまくはまると、
その言葉自体がリーダーシップを発揮してくれます。
あらゆる人をぐいぐい引っ張ってくれます。
有機的に育ちつづけてくれます。
そんな言葉を生み出すことに長けているのが、
やっぱりコピーライターなのです。

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澤田 智洋(電通 コピーライター/プロデューサー)
澤田 智洋(電通 コピーライター/プロデューサー)

2004年電通入社。映画『ダークナイト・ライジングの』「伝説が、壮絶に、終わる。」等のコピーを手掛けながら、多岐に渡るビジネスをプロデュースしている。世界ゆるスポーツ協会代表。日本バブルサッカー協会理事長。スポリューションメンバー。義足女性のファッションショー「切断ヴィーナスショー」プロデューサー。視覚障がい者用のロボットを開発する「MAGIC STICK PROJECT」プロデューサー。日本ブラインドサッカー協会のコミュケーションプランナー。R25でマンガ「キメゾー」連載中。口説き文句研究家。著書「ダメ社員でもいいじゃない。」

澤田 智洋(電通 コピーライター/プロデューサー)

2004年電通入社。映画『ダークナイト・ライジングの』「伝説が、壮絶に、終わる。」等のコピーを手掛けながら、多岐に渡るビジネスをプロデュースしている。世界ゆるスポーツ協会代表。日本バブルサッカー協会理事長。スポリューションメンバー。義足女性のファッションショー「切断ヴィーナスショー」プロデューサー。視覚障がい者用のロボットを開発する「MAGIC STICK PROJECT」プロデューサー。日本ブラインドサッカー協会のコミュケーションプランナー。R25でマンガ「キメゾー」連載中。口説き文句研究家。著書「ダメ社員でもいいじゃない。」

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