<登壇者>
- ハウス食品株式会社 事業戦略本部 マーケティング部長 兼 関連事業部長 吉原 純 氏
- ピーチ・ジョン 取締役マーケティング本部 本部長 門松 茂伸 氏
——販売部門と広告・マーケティング部門の間に、「壁」を感じることはありますか?
門松:日々、感じています(笑)。まさに昨年度からその「壁」をなくそうと、組織改編に取り組んでいます。当社は下着メーカーとしての「商品力」と、それを見せていく「広告・カタログのビジュアル力」は強みとして持っています。
しかし、日々の売上を追う販売部門と、長期のブランディングを行う広告・マーケティング部門を、無理に連動させようとしてもどうもうまくいかない。
そこで今では、販売は販売に注力してもらい、私が所属するマーケティング本部で、長期ブランディングだけでなく、さらにより「販売現場での顧客接点」を意識したブランディングやアートディレクションを行うようにシフトしています。
吉原:ハウス食品では、2013年にホールディング体制に移行したのを機に、製品開発とマーケティング部門が一つの事業部になりました。別々の頃は、やはり両者の間には「壁」があったように思います。お互いが見えにくかったがゆえに「どんな製品を作っているのかが分からない」とか「広告・マーケティングに営業側の意見が反映されていない」と感じてしまうことは生じていたと思います。
それが一つの事業部になったことで変わりました。席が近くなることでマーケティング担当と開発担当とがコミュニケーションをとりやすくなり、ネーミングや販促方法にいたるまで、双方で考えるようになりました。
——「顧客に購入してもらう」ためのストーリーづくりやブランディングは、どのように取り組んでいますか?
吉原:我々の製品は、食品スーパーなどの量販店が主戦場です。昔から流通各社のバイヤーや、MD、小売りの方々とは常に密に情報収集・情報交換を行い、製品開発や広告宣伝、販売促進に取り入れています。
春と秋には、半年後に発売する新製品の詳細情報や、広告展開時期・内容、POPや店頭で使用する映像などの販売戦略を、まず全国の自社拠点に展開します。そこから流通各社・量販店への情報共有には、マーケティング担当が営業と一緒に説明に回るようにしています。
門松:我々の場合は、直営店なので、どのように販売していくかという情報を現場に届けることは可能です。ただ、以前は、社内の広告素材を「流用」して、店舗が独自の視点で店頭ツールなどを作成するようなケースもありました。そうすると、テレビCMなどのメディアで発信しているイメージと、実際に店頭でお客さまがご覧になるピーチ・ジョンの「ブランドのトーン」がぶれてしまうことが生じてしまいます。
そこで今期から、広告・マーケティング担当が、店舗デザインも含むすべてのアートディレクションを行うようにしています。販売本部とマーケティング部門は、とにかく密に意思疎通を行い、「販売部門がどう販促を行いたいか」、その要件をしっかり聞き取り、広告やカタログなどのアウトプットにつなげています。さらに、販売現場からのフィードバックも行い、次のサイクルに生かすようにしています。こうすることで、マーケティングから販売まで、一貫したブランドイメージ、ストーリーを提案できると考えておりますがまだスタートしたばかりなので、成果についてはこれからです。