——ソーシャルメディアは、ストーリー戦略、ブランディングにおいて、どのように活用していますか?
吉原:お客さまが商品を購入したあとの情報発信に注目しています。一昔前であれば、メーカーに寄せられる「お客さまの声」といえば、厳しいご意見の割合が多かったと思います。それが、現在ではお客さまが実際に試された感想、ご意見もどんどん寄せられるので、それは存分に活用しています。具体的には、毎日届く100件以上のご意見を、毎朝必ず各部署長がチェックします。製品開発、マーケティング、販売促進などそれぞれの現場に役立てています。
他には、例えば「合わせダレの素 まぜてマジック」という商品では、パッケージにあるQRコードを読み込むと、「まぜマジ100レシピ」のサイトにアクセスするようにしています。そこでは、動画も交えて、より具体的にわかりやすく情報を発信しています。スマートフォンが普及したことにより、動画活用の度合いがさらに高まってきています。
ほかにも、スパイス類などのプロモーションは、クックパッドさんに代表されるレシピ検索サイトと連携して行うことも増えてきました。生活者から寄せられるレシピを見ていると、我々が思いつかないような使い方を教えて頂くこともあります。長年、テレビCMを広告・販売戦略の要としていて、それは今後しばらく変わらないと思いますが、やはり「伝えっぱなし」の時代ではなく、その後のコミュニケーションまでいかにストーリー性を持って設計できるかが、広告と販売をスムーズにつなぐためにも大事だと感じています。
門松:直接販売を行っていることの強みとして、購入者の情報が取得出来ることがあります。それを活かし、フェィスブックなどのソーシャルメディアで、セールやクーポンの情報を提供すると、当然お客さまからの反応はかなり高くなります。しかし、そればかりを発信していては、顧客との深いコミュニケーションを作り上げられません。
同時に、当社製品を着用されるときのイメージを提案することで「気持ちがアガる」ような、商品価値が高まるブランディングにつながる情報も出していく必要があります。
ソーシャルメディアは販売部門が主導しすぎると、どうしても売上に直結するセール・クーポン情報に偏りがちになります。ソーシャルメディアの特性を理解し、価格面でのお得情報のためだけではなく、ブランドのさらなる理解や、よりファンになってもらうために、ソーシャルメディアを活用するなど、バランスを取ることが重要だと思っています。