Webを制するものは市場を制す
「“職人気質”と言えば聞こえはいいのですが、極端な例を挙げれば、お客さまが来社しても挨拶すらしないような悪しき風習が、この業界にはいまだに残っていたりします。お客さまと会話ができなければ、良いものはできません」と中小路さん。入社直後から社内に呼びかけたのは、「難易度が高く、これまでは断っていたような案件も、積極的にチャレンジしていく」ということだった。営業を強化することで、入社から2年後の2004年には黒字に転じた。
「古くからいる社員の中には、こうした新しい動きを良しとせず、離れていった人も少なくありませんでした。しかし、新しい空気を受け入れて、これまでにない面白いことをしてみたいと思って残ってくれる社員も少なからずいた。若い技術者も新たに採用し、最先端の技術も積極的に導入して、顧客の要望を聞きながらモノをつくる。下請けだったら絶対にできなかったビジネスが、徐々にできるようになっていきました」。
2005年に社長に就任してからは、その動きをますます加速。冒頭の社是を掲げたのは2008年、ちょうどリーマンショックが起こった年のことだった。自動車関連を中心に、新規の設備発注がストップ。売上につながりにくいと他社は敬遠する、メンテナンス業務に力を入れるようになった。
「新しい設備が導入できないぶん、既存の装置のメンテナンスニーズは高かったんです。僕が実現したい、技術を駆使した『おもてなし』と、時代のニーズがうまく合致しました」。
近畿2府5県には、緊急事態に即・駆けつけ対応し、土日のトラブルにも対応する。他社製の装置でも改良・修理を受け付けるほか、ダイイチデンシが輸出した製品であれば、上海のメンテナンス拠点から世界各地に技術者を派遣して対応にあたるという徹底ぶりだ。メンテナンスで取引が始まった顧客から、その後、新規設備を適正価格で受注する。この流れが、ダイイチデンシでは王道のパターンになっているという。
社是に合わせて、Webサイトや会社案内もリニューアル。「面白いことをやっていそう」「この会社と組めば、何か面白いことができそう」と思ってもらいたい一心で …
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