デジタルのマイナス体験で6割超が検討を中断
デジタルへの投資が重要と言うと、「当社の商品の販売チャネルは、リアルの店舗がメイン。オンラインでビジネスが完結する業態ではないので関係のない話」といったような声も聞こえてくる。
こうした声に対してアドビシステムズグローバルサービス統括本部コンサルティングサービス本部DMSコンサルティング部シニアコンサルタントの安西敬介氏は「デジタル上での顧客体験が重要な業態は、決してデジタルでビジネスが完結する企業だけではない」と指摘する。
同社が日経BPコンサルティングと共同で実施した調査(2014年10月【図1】)によれば、たとえ店舗にいても、知りたい情報を「その場で店員に聞く」よりも「Webサイトで調べる」と答えた人が多いことが分かった。
また「Webサイトでのマイナス経験があると、商品購入または情報収集のいずれかを中断する」と回答した人が62.6%に上る結果に。つまり、ビジネスが店舗主体かオンライン主体かに関わらず、デジタルへの投資が必要なのだ。
また、デジタルの浸透で消費者と企業との接点は、従来のマス広告や店舗に加え、PCWeb、モバイルWeb、アプリなど、そのチャネルは多様化する一方だ。
それにも関わらず、どのチャネルにおいても「消費者は、ますますパーソナライズされた、自分に関係性の高い、タイムリーなコミュニケーションを期待している」(安西氏)という。その期待に反してしまうと、前述の通り、62.6%の消費者が購買検討をやめてしまうのだ。
魅力的な顧客体験を実現するためのデータドリブン
「パーソナライズされた」「自分にとって関係性の高いコンテンツ」が「タイムリー」に提供されることによって実現する、魅力的なカスタマーエクスペリエンス。しかし、一足飛びにこの理想を実現するのは難しい。
理想的なカスタマーエクスペリエンスを提供できるようになるために、企業はどのようなことに取り組んでいけばよいのだろうか。
これまでグローバルで1000社以上のデジタルシフトを支援してきたアドビシステムズでは、必要な要素として「データドリブン」「クロスチャネル」「エクスペリエンス」「モバイル」さらに、それを支える「組織」の重要性を提示している【図2】。
魅力的なエクスペリエンスを提供するためには、あらゆるチャネルでの接点を統合する「クロスチャネル」が必要であるし、また今日の消費行動を考えれば「モバイル」への対応は不可欠だ。
加えて、「自分にとって関係性が高い」と感じてもらえるコミュニケーションには、顧客の背景を理解し、それに合った対応をしていく必要がある。それには顧客の「データ」が必要であり、そのデータに基づいた「データドリブン」な施策を行うことが、より良いカスタマーエクスペリエンスを提供するうえで、最初に取り組むべき課題と言える。
“個客”理解のためのデータを「作る」
これまでのマス媒体を使ってのマーケティングは、事前に立てた「仮説」を基に巨額の予算を投じていたが「データ」に基づくことでテスト、分析、アクションができ、何が本当に「優れた顧客体験」に貢献するのかを実証することが可能になった。
「データドリブンとは、データの分析にとどまらず、“個客”の輪郭を明らかにし、個客に合わせてメッセージを最適化するためのデータを“作る”こと」と安西氏は語る。
実際に例をみてみよう【図3】。
三井住友カードでは、ログイン経験の有無、Web明細登録の有無などサイト訪問者のステータスに合わせてメッセージを出し分けている。
例えばキャンペーンAにエントリー済みのお客さまへはキャンペーンAの訴求はせず、キャンペーンBの訴求をするなど、まさに個客に合わせた「パーソナライズされた」メッセージを出している。
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アドビ システムズ 株式会社
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