サントリーホールディングスは5月29日、同社の環境活動である「天然水の森」活動の認知拡大を目的に、特設サイト「サントリー天然水の森 人類以外採用」をオープンした。「動物」「植物」「昆虫」「菌類」の4つを募集職種とした、「ヒト科以外の生き物の採用サイト」という体裁をとっている。
「水と生きる」をコーポレートメッセージに掲げるサントリーが、「天然水の森」活動をスタートしたのは2003年のことだ。飲料メーカーの事業活動において欠かすことができない水資源。「工場で汲み上げる地下水よりも多くの水を生み出す森を育む」ことをめざし、13都府県18カ所・およそ8000ヘクタールにわたる森林の保全活動を続けてきた。2020年までに、森林面積は1万2000ヘクタールにまで広げていくという。
今回のサイトは、同社が10年以上にわたって継続してきたこの活動を、より多くの人に伝えることを目的としている。「『サントリー=天然水を育む森づくりを、本気で行っている企業』という事実を、より多くの方に知っていただきたいという思いがあります。一見すると難しく思えてしまう内容であることから、分かりやすく、かつユーモラスに共感・共有していただきやすいような仕立てにしたいと考え、今回のようなコミュニケーション施策に至りました」とサントリービジネスエキスパート 宣伝部の中村勇介さんは話す。
「宣伝活動」として、宣伝部とコーポレートコミュニケーション本部が協働で手掛けているが、「採用」をテーマとした企画であることから、制作にあたっては一部、人事部とも相談しながら進めたという。サイトをスクロールしていくと、最下部には“人間の採用サイト”=サントリーホールディングス新卒採用2016のサイトへのリンクが表示されている。
サイトの目玉コンテンツは、「先輩社員の1日」と、「採用エントリー」のページ。「先輩社員の1日」では、「天然水の森」に生息するさまざまな動植物をサントリー「天然水の森」の「社員」に見立て、その生態や直面している課題、関連するサントリーの取り組みなどを紹介している。
また「採用エントリー」に進むと、“面接官”役のリスとのユニークなやりとりが楽しめる。
企画制作パートナーは、面白法人カヤック。昨年11月にサントリービジネスエキスパート、ヤフー、I.C.Eが共催した「Yahoo! JAPAN アド・クリエイティブ・ハッカソン2014」が、同社とサントリーとの出会いのきっかけだったという。
クリエイティブディレクション、企画を手掛けたカヤックの兼康希望さんは「普通に伝えるだけでは誰も見てくれないので、Web的な面白さをプラスしましょうと、お話ししました。サントリーさんもノリノリで、チームメンバーからもさまざまなアイデアが出てきて、小ネタ満載のアウトプットとなりました」と話す。
サイトへのアクセス数など、目標数値は非公開だが、SNSを中心に話題が拡散している。Facebook・Twitterではシェア数が1万件にのぼり、「こういう生物多様性の教えかた、大好き。」「とても良いサイトだ。。。仕掛けも遊び心も細かい。それが好感。」「面白い!かつ想いがとっても伝わる素敵なPR」など好意的なコメントが多く見られる。
「狙いとしていた『サントリー=天然水を育む森づくりを、本気で行っている企業を伝える』『共感・共有していただきやすいような仕立てとする』ということが実現できているのではと捉えています」(前出の担当者)と手応えを感じているようだ。
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