1915年の創立から今年で100周年を迎える安川電機。周年事業の一環で制作されたWebムービーが、公開から1週間足らずで再生回数290万回を突破、国内外で話題が広がっている。
5日に全世界で同時公開されたムービーは、同社の産業用ロボット「MOTOMANMH24」が居合術の神業に挑戦するプロジェクト「YASKAWA BUSHIDO PROJECT」の一部始終をまとめたドキュメンタリー。同プロジェクトでは、数多くの世界記録を保持する居合術家・町井勲さんの剣技を産業用ロボットで再現、俊敏性・正確性・しなやかさを高次元に融合させたロボットの動きを通じて、安川電機の“ものづくりスピリット”を世界に向けて発信する狙いがある。
安川電機の技術者を中心に、町井さんの剣技をモーションキャプチャして3D解析。そのデータをもとにプログラミングを行った。人の動きをそのままロボットにコピーしようとすると演算に時間がかかり、高速で刀を振り切ることができない。そのため、対象物を裁断するための幅・約30センチの動きに絞ってデータを算出。さらに、町井さんの協力の下、刀の入射角度や速度の調整を繰り返すことで、ミリ単位で正確に狙った箇所を切ることができるようになった。
ムービーでは、居合術の基本形である「四方斬り」に始まり、「袈裟斬り」「斬り上げ」「水平斬り」を再現し、最後には町井さんと協力して「千本斬り」に挑戦する。海外売上比率が65%を占める同社(公式サイトより)。海外での話題化も意識し、日本が誇る高い技術力とともに、礼節や相手を思いやる心といった武士道が重んじる日本的な精神文化も表現した。PR担当者によると、ムービーは国内よりも海外からのアクセスが目立つという。
サーボモータ、コントローラ、インバータ、産業用ロボットと幅広いメカトロニクス製品を手掛ける安川電機だが、周年事業では、ロボットを軸としたコミュニケーションの強化を通じて、より地域に根差し、人々に親しまれる企業となることをめざす。目玉企画は、福岡県北九州市の本社敷地内にオープンした「ロボット村」だ。
①「YASKAWAの森」(平日の日中に一般開放する1万平方メートルの緑地帯)、②「安川電機みらい館」(顧客や学校・研究機関、地域の人々に、ものづくりの魅力やロボットの最新技術などを発信する展示・体感・学習施設)、③「ロボット工場」(それぞれ異なる種類のロボットを製造する3棟の工場)、④「本社棟」、⑤「厚生棟」(食堂や診療所など従業員の福利厚生施設)の5パートで構成され、6月1日のオープニングセレモニーの場で、先のムービーが初公開された。
2013年度にスタートした中期経営計画「Realize100」では、2015年の強化事業のひとつに「ロボティクスヒューマンアシスト事業領域」を掲げている。累計出荷台数30万台を突破した産業用ロボット(公式サイトより。2014年9月現在)を中核としながら、より人に近い分野で人と共存するロボット市場を創造し、産業用ロボットの適用範囲の拡大とサービスロボット市場の開拓をめざすとしている。
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