ペプシネックスゼロ・桃太郎のCMは「クリエイターとクライアントが同じ夢を見た」からできた【前編】(ゲスト:多田琢さん)

【前回コラム】「人と違う部分は全て才能。でも、多くの人は開花する努力をしない。」はこちら

TCC賞、ACC賞のダブルグランプリを受賞したペプシのCM。今回は、そのCMを手掛けたTUGBOATのCMプランナー、多田琢さんをゲストに迎え、制作秘話を聞く。

今回の登場人物紹介

左から、中村洋基(すぐおわレギュラーゲスト)、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)、権八成裕(すぐおわパーソナリティ)、多田琢(TUGBOAT)。

※本記事は5月15日放映分の内容をアドタイ用に編集したものです。実際に放送された内容とは一部異なります。

小田桐昭さんからのアドバイス「クライアントと企みなさい」

中村:今週のゲストはTUGBOATのCMプランナー、多田琢さんです。

多田:よろしくお願いします。

権八:多田さんはペプシのCMで今年のTCC賞グランプリを受賞されました。TCC賞の審査はいつも票が割れるんですけど、今回は圧倒的な得票率で、70%を超えたのは初めて見ましたね。今日は無理を押して、多忙なスケジュールをかいくぐって来ていただきました。

中村:TCC賞のみならずACC賞もグランプリを。あとは・・・

多田:ADC会員賞です。自分で言うのも何だけど(笑)。

権八:TCC とACC、両方グランプリというのは最近ありましたか?

澤本:ないと思う。去年は多田さんイヤーでした。すごいですよね。

権八:いま曲がかかりましたが、「The Heavy」、これがCMの楽曲ですね。小栗旬くんが桃太郎をやっているペプシのCM、最初見た時はビックリしました。なぜ、桃太郎がいきなり?と思ったし、キジ、猿、犬の外見がやたらスタイリッシュでかっこよくて、さらにスケールが大きくて・・・。まずは、このCMはどのようにして生まれたんですか?

多田:広告の企画ってふっと出るものじゃない? もちろん後付けで説明はできるけれど。でも、あえて答えるなら、そこに引っ張っていってくれたのはクライアントじゃないかと思います。ここでクライアントを褒めたたえて、仕事をいっぱいもらおうなんて考えはサラサラないけど(笑)。

権八:いえ、アピールしたほうがいいですよ(笑)。

多田:もう51歳になるけど、昔は「クライアントは敵」と思っていたんです。「俺の面白いアイデアを全部潰そうとしている。闘わなければ」という気持ちだった。でも、実際には面白いアイデアができたと思って、クライアントを説得して、世に出した広告が、スカッと外してしまうということがすごく多かったわけ。

それは自分の技量が足りないからだ、まだ面白くないからだと思っていて。でも、いつまで経っても、全力で打ったのに飛ばない。打った瞬間は場外いったかなと思うのに、世の中では手前でヒューンと落下している。自分でテレビを見てもそれがわかってしまう。これはなぜなんだろうと結構悩んでいて、競争の世界から一度リセットしないとダメだと思って、その頃にTCCを抜けました。それで小田桐昭さんに相談をした。

澤本:小田桐さんに。

多田:TUGBOATの岡(康道)が小田桐さんの部下だった関係で、2カ月に1度ぐらい小田桐さんが事務所に来てくれて、みんなで話をするという会があったんですよ。その時、小田桐さんに相談しました。きっと小田桐さんは、「この部分が甘い」「人間の見方が足りない」「多田くんのCMは人間を描けていません」というようなことを言われると思ってました。でも、小田桐さんに言われたのは「クライアントと企みなさい」ということだったんです。

一同:なるほど。

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