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日本でもよく知られるようになったマーケティングオートメーションだが、これまではB2B企業のマーケティングで利用されることが多かった。しかし、「マーケティングオートメーションはマーケティングの領域以外にも様々な活用方法があるのではないか…。」そんな発想から、総務省ICT健康モデル実証実験の基盤としてマルケトのマーケティングオートメーションが採用された。
リードナーチャリングの目的は“販売”だけではない!?
プロジェクトを担当する電通の片山智弘氏(ビジネス・クリエーション・センター 事業開発室 事業プロデュース1部 プロデューサー)は「昨年12月より、総務省ICT健康モデル実証実験の一環で、藤沢サスティナブルスマートタウン(FSST)を活用した、被扶養者向けの健康プログラムの提供を開始しました。被扶養者、つまりは主婦層の健康意識を高めることを目的とした実証実験ですが、ここでマルケトのマーケティングオートメーションを採用しました」と話す。
もともと電通では、2013年度に総務省の「ICT街づくり」推進事業の委託先候補に選定され、愛媛県・松山市を舞台に、街づくりというテーマにICTを絡め、防災・観光・健康の3点を活性化させる実証実験を受託した経緯がある。
今回は、松山市での実証実験の知見を活かしつつ、先進的なスマートシティ実証実験の場であるFSSTを舞台に、健康に特化したプロジェクトとなっている。この実証実験の公募は2014年度の開始時に始まり、受託が決まったのが2014年の夏過ぎ。そこから実装に向けた準備がスタートした。
30代から50代の主婦層を巻き込むためリアルとバーチャルを組み合わせ
今回のプロジェクトの背景として、主婦層の健康意識が低いという問題があった。30代~50代の主婦層は、家事や子育てに忙殺されなかなか自分の健康に関心を払うことができていない。女性特有の疾患の検診の受診率も十分とはいえない。各健康保険組合では主婦向けの健康意識の向上を図る冊子を作り保険加入者の勤務先で配布するなどの努力をしているが、保険加入者(ご主人)がその冊子を自宅に持ち帰らなければ、被扶養者(主婦層)には読んでもらえないという問題もあった。
主婦層の健康意識を向上させるには、現在のメディア環境におけるコンタクトポイントの構築と、個人の属性セグメントに合わせたシナリオとコンテンツの設計が重要だと考えられた。
そこで、今回の実証実験では、オフラインでのイベントとスマートフォンアプリを組み合わせたユーザー参加型のリアルとバーチャルを組み合わせた健康プログラムを設計した。
健康プログラムは、主婦層の日常的な購買接点となっている商業施設「湘南T-SITE」を基点として、「①健康に関連するイベントの提供」、「②インセンティブの提供(T-POINTと連動)」、「③スマートフォンアプリプラットフォームの提供」の3つの柱で展開された。
今回の実証実験の被験者は約300名。「①健康に関するイベントプログラムの提供」では「湘南T-SITE」や健康関連の商品・サービス提供企業の協力を得て商業施設内でイベントを開催した。
また、「③スマートフォンアプリプラットフォームの提供」ではFitshiftというスマートフォンアプリを開発し被験者にダウンロードしてもらい、ゲーム感覚でキャンペーンに参加できる仕組みを作った。
このアプリやアプリに組み込まれた歩数計を使って「どの健康プログラムに参加したか?」、「どれだけ運動をしたのか?」といった利用者の行動履歴が“見える化”され本人へとフィードバックされる。行動履歴から詳細にセグメント化を行い、それぞれに最適な健康意識向上コラムを配信した。
利用者の行動履歴のデータを本人と共有しながら、配信側でもそのデータのお陰で利用者本人にとって有益かつ関心のある情報を提供できる仕組みとなっていることがポイントである。
「そもそも関心のない人を振り向かせ、さらに三日坊主で終わらずに、関心を維持・向上させるためには、一人ひとりに合ったコンテンツの配信が欠かせません。マーケティングオートメーションのリードナーチャリングのプロセスが、健康意識の向上という課題でも、応用できるのではないかと考えました」と電通・ダイレクトマーケティング・ビジネス局 CRMソリューション部 プランナー・長屋朋宏氏は話す。
マルケト
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