「salesforce connections 2015」レポート③はこちら
米国・ニューヨークにて6月16日~18日に開催されたSalesforce.com主催のマーケティングイベント「salesforce connections 2015」では、同社の「Marketing Cloud」の最新の機能について発表があった。機能が強化されたのは「Eメール」「ジャーニービルダー」「広告配信」の3点。イベント開催期間に現地にて米国セールスフォース・ドットコムのSalesforce Marketing Cloud・Marketing Cloud Operations担当シニアバイスプレジデントのウッドソン・マーティン氏にマーケティングテクノロジーを取り巻く動向、さらにその中で、同社が描く「Marketing Cloud」の戦略について話を聞いた。
——フィジカル、デジタル問わず、カスタマーとのあらゆる接点を統合し、個々のカスタマーに合わせた適切な時、場所、メッセージを届けることで、関係性を深めていく…。チャネル横断でワントゥワンのマーケティングを実現することは、以前からマーケターにとっての理想だったと思う。それが、なぜ近年、急激に注目を集めているのか。
カスタマーとのデジタルを介した接点が拡大したことで、大量のデータが取得できるようになったこと。かつデータサイエンスの進化で、その大容量のデータを分析し、インサイト把握に活用できるようになったことの影響が大きい。
さらにスマートフォンの浸透で、これまでは補足できなかったリアルの場でのカスタマーの行動もトラッキングできる環境が整いつつある。マーケティングのテクノロジーは今後、ますます進化をしていくし、パーソナライゼーションを実現しようとする企業の取り組みは、より一層加速していくはずだ。
各カスタマーのプロファイルを基に適切なコンテンツを予測する「Predictive Intelligence」の技術も今後、ますます進化をしていくであろうし、いまマーケティングの世界はダイナミックな変化を遂げている。
特にカスタマーとの直接接点があり、データを取得しやすい、小売り業からこうした取り組みは始まっているが、消費財メーカーであってもソーシャルメディアを使って、直接の接点をつくる取り組みをするなどして、データを取得し、一人ひとりのカスタマーに合ったマーケティング活動を実現しようとしている。
最近は、広告とマーケティングのテクノロジーの一体化も始まっており、広告の配信もカスタマーのデータを分析したうえで、より効果の高いターゲットに絞り、そのターゲットに適したクリエイティブを配信できるようになっている。この領域は、今後も進化をしていくと思う。
——新しい時代にマーケターに求められるスキル・資質とは。
これまでマーケティング部門は、各チャネルのスペシャリストで構成されていた。しかし、魅力的なカスタマージャーニーを実現するうえでは、クロスチャネルを統括的に見ることができる人材が必要とされている。
加えて単に各チャネルを理解しているだけでなく、お客様のライフサイクルや、カスタマージャーニーを理解し、それに対応するためのビジネスプロセスの革新まで実現することが求められている。
——ウェアラブルデバイスやIoTの浸透で、カスタマーにコンテンツを配信する手段も従来からあるPC、モバイルのメールだけでなく、可能性が拡がっているのでは。「salesforce Marketing Cloud」はデバイスやチャネルの変化にどう対応をしていこうと考えているのか。
当社では、いち早くApple Watch に対応したアプリケーションの提供も始めており、常にデバイスの変化に対応していく考えだ。これまではEmail、モバイル、テキストなどチャネルやコンテンツの種類ごとに捉えられていたが、デバイスの進化・多様化に伴い、各デバイスに合わせたコンテンツやその配信の方法を考えていく必要もあると思う。
またデバイスへの対応だけでなくLINEやWeChatなど、新しいコミュニケーションアプリやソーシャルメディアなど、カスタマーとの接点となりうるプラットフォームが登場した際には、常に試して、その対応を検討していくつもりだ。
——日本市場をどう見ているか?
日本は注力したい市場だが、テクノロジーの取り入れ方に独自性があり、他の国のマーケットとは違うことが求められている点には注意をしたいと思っている。例えば、日本ではLINEがほかの国に比べて急激に浸透したが、日本の消費者は新しいテクノロジーを積極的に取り入れる傾向がある。カスタマーを中心に考え、真にカスタマーとって魅力的な体験を提供できるプラットフォームとなることが、結果的に当社のお客さまのビジネスの成功につながる。日本の消費者にとって魅力的なジャーニーを考えながら、日本市場に適した戦略を考えていきたい。
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