最近発表された音楽ストリーミングサービスの比較
では、ここで最近発表された3社のサブスクリプションサービス、サイバーエージェントとエイベックス・デジタルとの合弁会社によるAWA(アワ)、LINE社のLINE Music、Apple社のApple Musicを発表資料と筆者の独自取材で比較してみたい。
月末のユーザー数は筆者の推定ではあるが、「AWAサービスの伸びは6月11日のLINE MUSIC開始後も著しく変化があるわけではなく順調に伸びつづけている」(サイバーエージェント上村嗣美広報責任者)、「LINE MUSICは開始当初毎分10万人がアクセスしたのでシステムが追いつかなかった。現在は解消しているが露出を抑えているのにも関わらず順調に伸びている」(舛田淳LINE CSMO)と各社順調に伸びていることより独自に予測した数値である。
各サービスが個性を発揮することによる市場の底上げを期待
前述のように、従来日本における音楽のサブスクリプションサービスは定着してこなかったのだが、本年をきっかけに定着するのではないかと筆者は考えている。
その理由は(1)各種インフラが整ったこと、(2)日本のスマートフォンにおける大手のプレーヤーが参入してきたこと、および(3)3社の特徴ある展開がメディアに取り上げられ認知が上がることが挙げられる。
インフラ面では、4G LTEの導入や接続持続性が上がり、スマートフォンのデータ利用が促進されたことが挙げられる。
音楽ストリーミングサービスはダウンロード型のサービスと違い、楽曲をその都度配信(2回目以降はキャッシュという記録が残るケースもある)する必要があるために、また音質を保つためには高速で安定したデータ通信サービスが必要であり、その環境がようやく整ってきたことが挙げられるだろう。
また、今となっては当たり前になってきてはいるが、やはりスマートフォンのOSの主流であるiOS/Androidでのアプリ同時開発を各社が実施してサービスを同時に立ち上げられることも大きいと考えられる。
次に今回のサービスリリースをした3社は日本におけるスマートフォンとエンターテインメントサービスのメインプレーヤーであり、豊富なノウハウとリソースを投入できるだろう。
サイバーエージェントはアメブロや755で培った芸能界のパイプやアメーバのサービスで得られるスマートフォンの知見などを投入することができ、LINEは5800万人という国内SNS随一のユーザーやコミュニケーションツールを持ち、生活インフラに進化させている過程であり、Apple社はiPhoneで日本のスマートフォンのシェアの多くを握っており、iTunesでは膨大なユーザーベースをすでに誇っている。
さらに、このように3社のサービスが同時に立ち上がることでマスコミにも取り上げられやすく、各社が特徴のあるサービスを出すことでユーザーが“どのサービスが自分に向いているか?“という選択肢を得ることができるのが良いのではないか。
筆者は、日本は三大〇〇といった構成がフィットする社会(多くて4社)と考えており、5社以上になると複雑で一般には覚えにくくメディアも比較しにくいといった側面があると考えている。
今回大型のサブスクリプションサービスが3つ出ることによってサービスの改良や報道合戦も過熱することになるのではないだろうか?
スマートフォンの音楽サブスクリプションサービスはまだ始まったばかりであるが、次回よりそれぞれのサービスの今後の展開や関係者へのインタビューなどによって深掘りしていきたい。